A社はいつも成果を出してくれる」
「他の代理店にも同じ資料を送ってるけど、反応が薄いんです」
「なんとなく、動いてくれそうなところに期待してしまう」
「でも、何が効いたのかはよく分からない」

──これは、チャネル支援の現場で実際によく聞かれる言葉です。

支援をしている。
丁寧に情報も送っている。
でも、うまくいく代理店と、うまくいかない代理店が分かれる。
その理由は 語れない
というより、記録されていない

成果の違いがあっても、それをどう再現すればよいか分からない。
この「再現されない支援」が、チャネル施策の成長を止めているのかもしれません。

支援が“再現されない”とはどういうことか?

支援活動は、誰に・何を・どう届けるかを考える設計行為です。
しかし実際には、「うまくいった支援」が言語化もログ化もされないまま、属人的に終わってしまうことが多くあります。

たとえば──

  • トップ代理店には支援動画も提案テンプレもフル活用された
  • それと同じ内容を他の代理店に案内しても、動かない
  • トップ代理店がなぜ動けたのかが、説明できない
  • 気づけば「担当者の熱量」「相性の良さ」で語られている

これが、「再現されていない支援」です。

再現されないことで何が起きるのか?──4つの損失

① 成功が“偶然”で終わってしまう

代理店Aの売上が伸びた。
その背景には、資料閲覧、トレーニング完了、FAQ活用などがあったかもしれません。

でも、それが支援の成果なのか、単に担当者が優秀だったのか分からない。
因果が見えなければ、「たまたまうまくいった」として処理されます。

これでは支援は成果に貢献した行為として認識されません。

② ノウハウが属人化し、継承されない

支援のやり方は人によって異なる。
でもその内容が定義も記録もされていなければ、「再現」も「継承」もできません。

  • Aさんが対応していたときは代理店が動いていた
  • Bさんに代わった途端、動きが止まった
  • でも、何が変わったのかは分からない

属人的な成功は、組織にとって再現性のない一過性の成功でしかありません。

③ 改善のPDCAが回らない

成果が出た/出なかったという結果だけが残り、
そのプロセスがログに残らない。

そのため、次の支援をどう変えるべきかが分からない。
「資料が悪かったのか」「タイミングの問題か」──
議論は憶測と感覚に終始します。

④ 評価が“勘と相性”で決まるようになる

よくある評価コメント:

  • 「この代理店はアクティブです」
  • 「あの代理店は反応がないですね」
  • 「ここは営業が動きやすいです」

こうした言葉の背後に、行動ログも数値もない場合、評価基準は「勘と相性」になります。

これは、支援が評価されない業務として認識されていく構造そのものです。

支援に成果責任が求められていない

SFAで営業がログを求められるように、
支援にも「行動の見える化」と「結果とのひも付け」が必要です。

しかし、支援は「よいことをしている」「がんばっている」として、成果との因果を問われない傾向があります。

だから、ログが不要になり、改善も後回しになります。

支援は“感覚で届けるもの”という思い込み

「この代理店にはこういう資料が合うと思う」
「担当者の温度感的に、この施策は響きそう」

こうした感覚は現場では確かに重要です。
でも、それを記録も検証もせずに“使い捨てる”のは、大きな損失です。

成果が出ない理由を“相手のせい”にしやすい

再現されない状態では、成果が出ない理由はすべて相手側(=代理店側)に帰属します。

  • 動かないのは代理店の温度感が低い
  • 動かないのはやる気がないから

でも本当にそうでしょうか?

成果が出た代理店で行った支援と、出なかった代理店で行った支援が同じだったという記録がなければ、比べようがありません。

「支援を再現可能にする」という視点がなければ、組織は成長できない

営業がSFAによって再現性を持つ業務になったように、
マーケがMAによって反応を設計できるようになったように、
支援もまた、成果を生む仕組みとして再設計されるべきです。

そしてその第一歩が、「再現できる支援とは何か?」を問うことです。