代理店や販売パートナーに対して支援を行っているにもかかわらず、
なぜか成果が出るのは一部のパートナーに限られる──そんな経験はありませんか?

  • 同じ資料を配ったのに、ある代理店は反応し、別の代理店は何も動かない
  • トレーニングも案内したのに、活用された形跡がない
  • 提案書のテンプレートを共有しても、それが実際に使われたのか分からない

このように、「何を届けたのか」までは把握できても、
「何が使われ、どの支援が成果につながったのか」が分からない
これが、支援の再現性が失われている状態です。

支援をただ届けるだけでは足りません。
成果を出した支援行動をモデル化し、他のパートナーにも展開できる状態にすること
それが「支援を仕組み化する」ということです。

本記事では、支援を再現可能にするための設計視点を、行動・評価・成果の3つの要素に分けて解説します。

再現性とは、“成果に至る行動”を共有できること

「この代理店は成果が出た」と言えても、
「なぜ成果が出たのか」は説明できない。
説明できないから、他に展開できない。

これは、支援が感覚ベースでしか運用されていない状態です。

支援における「再現性」とは、次のような構造を明示できることです:

  • 支援内容(例:トレーニング+資料+テンプレート)が消化された
  • 支援行動(例:資料閲覧、動画完了、提案ツールダウンロード)がログで記録された
  • 結果として商談化率が他パートナーより高かった

この因果構造を誰が見ても分かる形で定義・記録・展開できることが、支援の再現性です。

行動を定義する:「支援消化スコア」という考え方

成果を生む支援とは、何を、どの順序で、どの深度で届けられたものなのか。
その輪郭を掴むには、「支援消化スコア(Support Engagement Score)」という発想が役立ちます。

たとえば、ある北米SaaS企業では、以下のような行動スコアを定義しています:

支援アクション

スコア

導入トレーニング動画の完了

20点

応用トレーニング受講

10点

製品資料の3ページ以上の閲覧

10点

提案テンプレートのダウンロード

15点

営業FAQの閲覧

5点

月3回以上のPRMログイン

10点

これにより、各パートナーの支援活用度を定量的に可視化できます。

支援の量と質を感覚で語るのではなく、
「どの支援が、どの程度活用されたか」が一覧で見える状態をつくることが、再現の第一歩です。

評価を設計する:「行動と成果の相関」を読み取る

支援行動が定義されても、それが成果に結びついていなければ意味がありません。
次のステップは、「どの行動が、どの成果と結びついているか」を検証することです。

例えば:

  • トレーニング動画を完了した代理店の受注率は、完了していない代理店の2.5
  • 提案テンプレートを3回以上ダウンロードしたパートナーは、商談化までのリードタイムが40%短い
  • ポータルログインが週1回以上の代理店は、年間売上が平均30%多い

このように、行動ログと成果指標(商談化率、受注金額、提案件数など)との相関を分析することで、
「何が成果に貢献しているか」が明らかになります。

重要なのは、「支援を受けたか」ではなく、「支援を自ら活用したか(消化したか)」を評価軸にすることです。

成果を設計する:「支援モデル」をテンプレート化する

成果が出た支援の構造が明らかになったら、それを支援モデルとしてテンプレート化します。

例:【支援モデル:新商品ローンチ支援】

フェーズ

支援内容

成果指標(追うKPI)

Week 1

製品概要動画の案内+閲覧トラッキング

動画完了率、閲覧時間

Week 2

提案書テンプレート配布+活用方法説明

テンプレダウンロード数、ダウンロード後のPRM滞在時間

Week 3

FAQ/営業トーク例の紹介

FAQ閲覧数、営業シナリオ参照回数

Week 4

キャンペーン情報共有+申込フォーム

フォーム遷移数、キャンペーンCV数

このテンプレートを活用し、他のパートナーにも同じ構造の支援を展開できるようにすることで、
支援は「その場限りの施策」から「再現可能な成果の仕組み」へと変わります。

再現性がある支援とは、“構造を持っている支援”である

属人的な支援は、担当者が変わればゼロに戻ります。
構造化された支援は、組織が回し、成果を積み上げられる資産になります。

再現性がある支援とは:

  • 成果につながる行動が定義され
  • その行動が記録され
  • 成果との関係性が分析され
  • 再展開できるモデルとして整理されている

という状態です。

この支援モデルが確立すれば、
「何を届ければ成果が出るのか?」を都度考える必要はなくなります。
改善とチューニングに集中できるようになり、支援業務の質が一段階引き上がるのです。

おわりに:支援の手応えを、“再現できる成果”に変える

「頑張ったのに、成果につながらなかった」
「よかれと思って案内したが、反応がなかった」

そんな支援担当者のモヤモヤは、
支援が構造化されていないことによる必然かもしれません。

支援を記録できる行動として定義し、
成果との相関を分析し、
展開できるモデルにする。

それが、支援を「偶然のヒット」から「意図的な成果」に変える方法です。