成果が出る代理店は、いつも“偶然”で終わっていないか?

パートナー育成がうまくいったとき、現場ではよくこう言われます。

「あの代理店は、やっぱり優秀だった」
「担当者が前向きで、提案の動きが早かった」
「正直、こちらが何かしたというより、勝手に動いてくれた」

──でも、本当にたまたま動いたのでしょうか?

成果が出る代理店には、ある共通した行動パターンがあります。
そしてそれは、再現できる支援導線を設計すれば、他の代理店でも起きうる行動なのです。

本記事では、教育から提案につながる再現プロセスの設計法を整理します。

再現可能な支援とは、「成果の前にある行動」を構造化すること

成果=受注や売上は、あくまで最終的な結果です。
そこに至るまでには、いくつかの前兆的な“行動”があります。
たとえば、成果が出ている代理店には、次のような傾向が見られます:

前兆行動

意味

教育動画を最後まで見ている

自社にとって必要な知識だと“自覚”している

営業資料をダウンロードし、編集している

提案への準備段階に入っている

キャンペーン施策に早期に参加している

行動する“きっかけ”を活かせている

案件登録が他より早い

“試すつもり”で動き出している

これらは「成果の一歩手前」のサインであり、支援設計上の仕掛けポイントでもあります。

教育→行動→提案→成果 の再現プロセスとは?

フェーズごとの支援構造を次のように整理できます:

【フェーズ1】 教育を“受ける”

  • ゴール:理解を起点に「動く準備」ができている状態
  • 必要な仕掛け:
    • 要点を押さえた短尺動画+すぐに使える提案資料
    • トレーニング後に「何ができるようになったか」を明示
    • LMS[新千1] [前直2] [新千3] 内で提案トーク練習用スライドを組み込む
      ※LMS Learning Management System
      の略

【フェーズ2】 動き出す(行動化)

  • ゴール:「提案のきっかけ」が生まれる
  • 必要な仕掛け:
    • 教材と連動したキャンペーン施策(使う理由をつくる)
    • 「これをお客さんに話してみましょう」的な営業アクション例
    • 資料DL後に本部から「動き出しフォロー」の自動トリガー

【フェーズ3】 提案する(初期アクション)

  • ゴール:顧客への初回アプローチが実行される
  • 必要な仕掛け:
    • 本部側で提案の初回テンプレートを提供
    • 提案内容に対するフィードバックや添削支援
    • 案件登録とセットで達成として扱う評価軸

【フェーズ4】 成果化する(受注・定着)

  • ゴール:代理店が再現可能な売り方を獲得する
  • 必要な仕掛け:
    • 成果に至った代理店のプロセスをナレッジ化
    • 類似フェーズの代理店への横展開・紹介制度
    • 成果モデルに近づいたことが見える構造(スコア・ラダー制など)

「動き出す前兆」をKPI化すれば、支援は“精度高く”なる

再現プロセスを設計するには、「成果」だけでなく
兆しとなる行動をKPI化することがカギです。

例:

指標

内容

教育動画の視聴完了率

フェーズ1(理解)を確認

提案資料の活用回数

フェーズ2(動き出し)を確認

初回案件の登録日数

フェーズ3(提案)への接続速度を見る

→ これらの“行動の差分”を測ることで、改善すべきフェーズが明確になります。

最後に:成果は「センス」ではなく「再現」でつくる

「この代理店は動いてくれた」「あの担当者は優秀だった」
──
それが偶然の成功で終わるか、再現可能な成功になるかは、本部の支援設計にかかっています。

教育したあとにどう動くか。
動き出す前兆をどう捉えるか。
提案までの道筋をどう仕掛けるか。

支援とは、育つ相手を育てられるようにすること
再現プロセスの設計は、チャネル全体の成長力を高める中核施策です。