「教育コンテンツは整備している。でも、効果は……よくわからない」

代理店向けのトレーニングを動画で提供し、
LMS
(学習管理システム)やポータルも整備している。
一見、体制は十分──でも現場からはこんな声が上がります。

「動画は見たようだけど、提案には結びついていない」
「受講履歴はあるけど、本当に理解しているか不安」
「成果が出ている代理店と、出ていない代理店の差が見えない」

これは、受講したかばかりを見ていて、変化が起きたかを測っていないことが原因です。

教育は「完了」で終わらせてはいけない

多くの現場では、トレーニングKPIとして次のような指標が使われています:

一般的な指標

内容

受講完了率

動画を最後まで視聴した割合

アクセス率

LMSへのログイン回数や対象教材の閲覧回数

テスト正答率

理解度確認テストのスコア

これらも必要ですが、あくまでインプットの確認にすぎません。
重要なのは、その教育が「行動の変化」や「成果」にどうつながったかです。

“変化を測る”ためのトレーニングKPI設計

以下に、教育のフェーズごとに設定すべきKPI指標を構造化してご紹介します。

【フェーズ1:受講したか(接触の可視化)】

代理店教育の目的は「理解させる」ことではなく、
「代理店自身が提案・実行できる状態にする」ことです。

KPI

補足

視聴完了率

動画を最後まで再生した割合(途中離脱者も把握)

ログイン頻度

定着性や自発性の確認指標

1コンテンツあたりの滞在時間

単に“流していただけ”を除外する指標として有効

接触率が低ければ、設計・導線・訴求方法に課題があると判断

【フェーズ2:理解したか(知識の可視化)】

KPI

補足

ミニテスト/クイズ正答率

知識定着の確認(1問10秒の即答型などが効果的)

“理解した内容を説明できる”自己評価

自己申告ベースでも行動変容の第一歩が見える

→ 理解できていないパートナー層を可視化してリカバリー対象に

【フェーズ3:動いたか(行動の可視化)】

KPI

補足

提案資料のDL数/編集回数

教材から営業行動への接続度を可視化

初回提案アクションの有無

トレーニング後〇日以内に提案されたか

案件登録の初動率

受講後、案件化された割合(個人 or 法人単位で管理)

→ 「やって終わり」ではなく、「動いたか」に注目するフェーズ

【フェーズ4:成果に結びついたか(結果の可視化)】

KPI

補足

受講者経由の受注率

教育から売上貢献につながった割合

問い合わせ減少・自己解決率

教育により“依存度”が下がったことの証明にもなる

→ 全員が成果に至らなくても、成果が出るパターン(教育→行動→結果)の再現性分析に活用可能

教育KPIは「設計図」でもあり、「改善の起点」でもある

教育KPIを設けることで、以下のような改善アクションが可能になります:

  • 途中離脱が多いコンテンツ要約版や分割配信を検討
  • 行動に結びつかない教材提案トークや営業支援資料との連動を強化
  • 結果が出ない層補講・再受講・フォロー施策の対象に

KPIは「管理」のためだけでなく、学習施策をアップデートするための診断道具でもあるのです。

最後に:教育は“届けたか”ではなく“変えられたか”で評価する

代理店が変わらないのは、やる気のせいではありません。
多くの場合、行動に至らせる教育設計がないことが原因です。

そしてそれは、「動いたか」「成果が見えたか」を測れる仕組みがあるかどうかで、
はじめて判断できるようになります。