教材はある。でも、成果が出ない。

代理店向けにeラーニングやFAQを整備し、資料も一通り提供している。
けれど──

「トレーニングは受けてもらっているけど、提案にはつながっていない」
「アクセスログはあるけど、どこまで理解しているか不明」
「何度教えても、同じような問い合わせが繰り返される」

こうした声をよく耳にします。

これは、学ばせること=育成ではないという本質的な問題を突いています。

代理店支援における教育コンテンツは、
受講させることではなく、動ける状態にすることを目的に設計されるべきです。

教育コンテンツ設計にありがちな3つの誤解

【誤解1】 「とりあえず動画を用意すればいい」

  • 長時間のWebinar録画をそのままアップ
  • 内容が冗長/構造が整理されておらず、どこを見ればいいかが分からない

学習意欲の高い代理店しか完走できず、自己責任にされがち

【誤解2】 「見る・読む=理解している」

  • 資料を開いた/動画を再生した=インプット完了、とみなしてしまう
  • 実際には「内容は聞いたが、自分で話せない・使えない」状態のまま

提案できるかどうかを測らず、教育が儀式化する

【誤解3】 「営業資料と教育コンテンツは別物である」

  • トレーニングはトレーニング、営業支援は営業支援
  • 同じ内容を二重に学ばせていたり、連動していないことが多い

学んでも、現場で“どう使えばいいか”が分からず、行動につながらない

成果につながる教育コンテンツの3つの設計鉄則

【鉄則1】“見る”ではなく“使う”をゴールに設計する

代理店教育の目的は「理解させる」ことではなく、
「代理店自身が提案・実行できる状態にする」ことです。

× 見たらOK

○ 見たあと“実行できるか”

製品動画を見た

提案トークを口頭で話せる

資料を読んだ

自社顧客向けに展開できる

FAQを確認した

問い合わせ対応を自力でできる

→ “どうやって行動に転換させるかを起点に設計すべきです。

【鉄則2】ステップ設計と習慣化で“定着”させる

1回見て終わる教材では意味がありません。
「学び試す振り返る」のループを設計し、支援を段階化しましょう。

例:

  • Day17:ログイン+概要動画+ミニテスト
  • Week2:提案トーク例の演習
  • Week34:キャンペーン情報を活用した仮提案作成
  • Month2以降:初回案件の登録 or 本部との振り返りMTG

時間ベースでやるべき行動をガイド化することがポイントです。

【鉄則3】教育と営業支援を“分けない”情報設計をする

代理店にとっては、教育も営業も「1つの行動の一部」です。
にもかかわらず、本部では「教育コンテンツ」と「営業資料」が分断されがちです。

  • トレーニングで見た資料が、実際の提案では使えない
  • 営業現場で使うテンプレが、教育では紹介されていない

このギャップが「学んだはずなのに、動けない」状態を生んでいます。

教育=行動支援であるという前提に立ち、
「学んだことが、すぐ提案・実践につながる構造」にする必要があります。

成果につながるコンテンツ構成のモデル例

フェーズ

目的

コンテンツ例

導入期

“概要を理解する”

2〜3分の要点動画+1枚の提案概要シート

実践期

“試してみる”

トークスクリプト・提案用PPT・チャートのカスタム版

振返期

“フィードバックを得る”

提案添削/本部との相談機会/簡易アセスメント

動画・シート・提案例などは「断片」ではなく、行動プロセスに連動したパッケージ化が理想です。

最後に:教育は「インプット設計」ではなく、「行動設計」である

成果を出す代理店は、最初から優秀なわけではありません。
動きやすくなるコンテンツ定着を促す導線を持っていたかどうか──
それだけで差が生まれることもあります。

代理店を責める前に、
「うまく動けるように育てる教材」になっていたか?を見直してみてください。

教育コンテンツは、支援の中でもっとも気づかれにくく・成果に影響を与える領域です。
今こそ、学ばせるを超え、動けるコンテンツ設計にシフトしましょう。