
「案件管理」はできている。でも「代理店の動き」は見えていない
──PRMが埋める空白とは?
商談の進捗は、SFAで把握できています。
営業担当者がいつ誰に会って、どのフェーズにあるのか、
BANTやMEDDICのチェックリストを使って、受注確度もスコアリングできている。
それでも、案件が動かない。
なぜか、代理店経由のパイプラインだけが読めない。
それは、“行動ログが存在しないパートナーの動き”が、空白になっているからかもしれません。
SFAは「自社の営業行動」を前提に設計されている
SFAやCRMは、営業担当者が「いつ・誰に・何をしたか」を入力する前提で構築されています。
だからこそ、行動と成果を結びつけ、プロセス改善が可能になるのです。
しかし、チャネル販売では、営業行動の主体が“社外(=パートナー)”になります。
- パートナーがいつ資料を送ったのか
- どのトレーニングを完了したのか
- 提案書のどの部分を強調して話したのか
- FAQや競合比較表を使ったかどうか
──こうした行動は、本部のSFAには一切残りません。
つまり、「案件」そのものはSFAで管理できても、
そこに至る“行動の履歴”が見えないのです。
行動ログなき案件管理=“意図なき数字”の追跡
たとえばこんな状況に、心当たりはありませんか?
- 案件ステータスは「提案中」になっている
- でも、誰が何を提案したのかは不明
- 見積書は出したが、競合との比較材料を使ったかは不明
- 営業トークの方向性も、資料の理解度も、ブラックボックス
本来、営業成果とは「どんな行動が、どんな反応を生み、どんな結果につながったか」の連鎖で語るべきです。
しかしチャネル営業では、この連鎖が途中で断ち切られている。
“成果だけをSFAで見て、行動は推測するしかない”という、極めて不健全な状況が起きています。
「できる代理店」は、他の代理店に伝えることができない
そしてもうひとつ重要な事実があります。
「できる代理店」が実際にどんな行動をしているかを、他の代理店は知るすべがない。
- 本部もトップ代理店の“行動ログ”までは見えていない
- 成果が出た背景がブラックボックスになっている
- 本部が「ぜひ真似してほしい」と思っていても、行動ベースのモデルが作れない
結果として、成功の再現性が生まれない。
良くも悪くも、“できる代理店は勝手にやってくれる”という期待に依存し、
本部は“他の代理店をどう伸ばせばいいか分からない”まま支援を続ける──
こうした非効率で属人的な構造に、多くの組織が陥っているのです。
PRMは、“見えなかった支援と行動”をつなぐ仕組み
この空白を埋めるのが、PRM(Partner Relationship Management)です。
とはいえ、「PRMというカテゴリーが必要だ」と言いたいのではありません。
PRMは、チャネル営業において、構造的に欠落している情報をログとして可視化するための手段です。
たとえば──
- 代理店がどの資料を開き、誰が何分閲覧したか
- トレーニングを完了した担当者と未完了者のリスト
- 本部が案内した支援施策の消化状況
- FAQや競合比較表の使用頻度と、成果との相関
これらのログが可視化されれば、「成果が出る代理店の行動」と「成果が出ない代理店の行動」の構造的な差分が明らかになります。
「行動が見える」ことで、何が変わるか?
- “やる気の有無”という主観ではなく、“支援の消化率”という客観で代理店を評価できる
- トップ代理店の行動モデルを他に展開できる(再現性のある支援)
- どの支援が成果につながっているかを検証し、最適化できる
- 成果の出ない代理店に、何が不足しているかが具体的に分かる
SFAが営業行動を“科学”したように、PRMはパートナー支援とその反応を“構造化”するためのインフラです。
おわりに──案件管理と営業ログの“空白”を放置しないために
営業活動は「数字」で管理できるようになりました。
でも、その数字に至るまでの「行動」が見えないまま放置されている領域があります。
それが、チャネル営業における最大の構造的な盲点です。
PRMは、その空白を支援ログと行動データで埋めることで、
“なぜこの代理店は成果が出ているのか?”という問いに、
感覚ではなく仕組みで答えられるようにするソリューションです。
成果を、偶然にしない。
再現できる支援構造へ。
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