「A社さんは、いつも反応が早いし、提案も丁寧でありがたいんですよね」
「それに比べて、B社さんはなかなか動かない……やる気の差ですかね」
代理店支援の現場で、こうした声を聞くことは少なくありません。
同じように資料を送り、同じようにキャンペーンを案内しているはずなのに──
なぜ、こんなにも差が出るのでしょうか?
たしかに「やる気」や「営業担当者の熱量」という言葉で片づけてしまえば話は簡単です。
でも、それで済ませてしまうと、いつまでも“属人的な成功”に頼るしかなくなってしまいます。
果たして、本当にやる気の差だけが原因なのでしょうか?

トップ代理店は、“支援を使いこなす構造”を持っている

成果を出している代理店には、共通した行動のパターンがあります。
それは単に“できる人が頑張っている”という話ではなく、次のような「支援の活用習慣」が根付いているのです。

  • メールで送付された資料を即日開封
  •  トレーニング動画の視聴完了率が高い
  • 支援ポータルのFAQページを頻繁に検索している
  • 本部からの最新情報を営業部内に展開するフローが社内に存在している

こうした行動は、単なる偶然ではなく、“情報が届き、使われ、伝播する仕組み”があるかどうかにかかっています。
裏を返せば、成果が出ていない代理店では、こうした行動が発生していない可能性が高い。
そして、本部側にはこうした差が“見えない”のです。

見えないから、支援が“届いたことになってしまう”

支援者側(メーカー、ベンダー、本部など)の多くは、「支援したつもり」になっています。

  • 資料は送った
  • 動画のURLも共有した
  • キャンペーン告知のメールも配信した

でも、それらが本当に誰に届き、誰が見て、誰が理解し、誰が行動に移したのかは、把握されていません。
まさに、この“見えなさ”こそが、成果の差を生む最大の要因です。
たとえばB社では、

  • 営業部とマーケ部が分断されており、情報共有が社内で滞っていた
  • 動画のリンクがメールに埋もれて、誰も見ていなかった
  • 問い合わせが複雑すぎて、支援情報よりも電話に頼っていた

──という状態だったとしたら?

これは「やる気の問題」ではなく、“届いていない構造”の問題なのです。

「できる代理店」は、他の代理店に伝えることができない

そしてもうひとつ重要な事実があります。
「できる代理店」が実際にどんな行動をしているかを、他の代理店は知るすべがない。

  • 本部もトップ代理店の“行動ログ”までは見えていない
  • 成果が出た背景がブラックボックスになっている
  • 本部が「ぜひ真似してほしい」と思っていても、行動ベースのモデルが作れない

結果として、成功の再現性が生まれない。
良くも悪くも、“できる代理店は勝手にやってくれる”という期待に依存し、
本部は“他の代理店をどう伸ばせばいいか分からない”まま支援を続ける──

こうした非効率で属人的な構造に、多くの組織が陥っているのです。

では、どうすればこの“分断”を埋められるのか?

それは、支援活動を「構造として見える化する」ことです。
たとえば──

  • 誰がどの資料を閲覧したか

  • どの動画を何分まで再生したか

  • どのFAQがよく検索されているか

  • どの代理店が最も問い合わせをしているか

  • 成果が出た代理店の支援消化率・完了率・反応スピード

こうした行動がログとして取得されれば、「できる代理店の行動」を可視化できるようになります。
さらにその行動モデルをもとに、「この支援を完了している代理店は成果が出ています」といった形で他の代理店に展開・ナビゲートすることも可能になります。

局所的な成功を、全体最適へ──それが“仕組みの力”

属人的な成功は、いつか限界が来ます。
担当者が異動したら、体制が変わったら、情報が流れなくなったら──
途端に成果が出なくなる。それはあまりにも脆い。

だからこそ、「成功する行動」を抽出し、見える形で全体に伝えられる仕組みが必要なのです。
トップ代理店の行動をモデル化し、他の代理店に再現させる。
“動かない代理店”を責めるのではなく、“動ける状態”を設計する。
その構造をつくることが、本部の本来の役割なのではないでしょうか。

おわりに:「成果の分断」を、仕組みで埋めよう

パートナービジネスの世界では、

  • 支援が届いたか
  • 支援が使われたか
  • 支援が成果につながったか

を測定する“ものさし”が不足しています。
だからこそ、「できる代理店の行動を見える化する」ことは、
「支援の価値」を評価可能なものに変える第一歩です。

  • 見えるようになれば、共有できる。
  • 共有できれば、再現できる。
  • 再現できれば、拡張できる。

PRMは、その構造を支える“仕組み”です。

今こそ、感覚ではなく構造で、成果を分かち合えるチャネル戦略を。