「代理店支援は大事だと思う。でも、SFAの中でやれるんじゃないの?」

これは、ある企業の稟議会議で実際に出たひと言です。

確かに、CRMやSFAに項目を追加すれば、代理店とのやりとりを“記録する”ことはできます。
新商品資料をアップロードしたり、活動報告を受け付けたり、やろうと思えばある程度の対応は可能です。

でも、それで──
代理店が“動くようになる”でしょうか?

「動く仕組み」と「記録する仕組み」は違います

SFAは、直販の商談管理を効率化するために設計されています。
目的は、営業のパフォーマンスを可視化し、進捗を管理することです。

一方、PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)は違います。

代理店という「別会社」に対して、
どうすれば自発的に動いてもらえるかを考え、仕組みに落とし込む必要があります。

つまり、SFA営業の内側を扱うツール。
PRM
外部のパートナーとの関係性そのものを扱う仕組みです。

目的も構造も、そもそも異なります。

「支援の記録」では、支援にならない

たとえば、次のようなやりとりを想像してみてください。

  • 新商品の資料をSFAにアップロードした
  • 教育動画のURLをメールで共有した
  • キャンペーン告知のPDFTeamsに投げた

これらはすべて、「やったこと」の記録は残ります。

けれど、その結果として──

  • パートナーは提案できるようになったのか?
  • トークはアップデートされたのか?
  • 成果につながったのか?

こうした行動の変化までは、SFAでは見えません。

むしろ、「やったつもり」だけが積み上がっていく危険さえあります。

稟議で通らない理由は、“機能”ではなく“言語化”の問題

PRMを導入しようとして、こう言われたことはありませんか?

  • 「SFAでやればよくない?」
  • 「代理店の支援、それってNice-to-Haveじゃない?」
  • 「何に効くのか、はっきりしないよね」
  • 「部門的に、誰が持つものなの?」

──すべて、PRMの価値が“定義されていない”ことによって起きている誤解です。
SFAは営業部、MAはマーケ部が持つ。
では、PRMは?
チャネル部門か、営業企画か、ITか──。
明確な“オーナー”が不在のまま、検討だけが空回りしていくのです。

PRMは“何を変える”ためのものなのか

PRMが変えるのは、数字ではなく「行動」です。

  • 資料を見ていない代理店が、見た上で提案できる状態になる
  • 教育が完了していない代理店が、学び終えて、自走する状態になる
  • 最新トークを知らない代理店が、正しく話し、成果につなげる状態になる

これらは、SFA報告欄を増やしても起きない変化です。

支援を届け、変化を促し、成果までの道のりを整える。
その一連を設計・記録・再現できるようにするのがPRMの役割です。

「投資対効果」は、まず“再現性”から始まる

PRMが通らない理由の一つに、
「定量的な成果が見えにくいから」という声があります。

けれど、見方を変えればこう言えます。

「定量化できる構造がないからこそ、PRMが必要なのではないか」

今うまくいっている代理店のやり方は、再現できていますか?
属人的に関係を築いているだけのパートナーを、仕組みで育てられていますか?

成果の出ている施策だけを拾い上げ、他社にも展開できる状態にあるか。
PRM
は、それを可能にするためのをつくるものです。

最後に:SFAとPRMの“どちらが良いか”ではなく、“何に効くか”

PRMが稟議で通らないのは、「役に立たないから」ではありません。
「何に効くのかを語れないまま提案されているから」です。

SFAは、進捗に効きます。
PRM
は、行動に効きます。

パートナーが動けない理由が、「記録されていないこと」ではなく、
「動く導線が整っていないこと」だとすれば──
それを変えられるのは、PRMしかありません。