
ブランドを守れていますか?──代理店チャネルの逸脱を防ぐPRM設計
ロゴの色が違っていた。
コピーに「効果抜群」とあった──本部では使わないと決めていた言葉なのに。
導入支援の対応が代理店ごとにばらばらで、ユーザーから「話が違う」とクレームが入った。
…そんな出来事に、覚えはありませんか?
現場で起きる“ちょっとしたズレ”。
でも、それが繰り返されると、いつの間にかブランドの土台が揺らいでいる。
資料もマニュアルも、全部渡しているはずなのに。
なのに、なぜこうも“守られない”のか。
本部の「伝えたつもり」と、代理店の「受け取ったつもり」の間には、
仕組みの断絶があります。
ブランドは「整える」だけでは守れない
ブランドを構成するのは、ロゴの色や使う言葉だけではありません。
販売のとき、どんな文言で語られているか。
導入のとき、どれだけ丁寧に説明されているか。
トラブルがあったとき、どんな対応がされているか。
──それら一つひとつが、顧客にとっての「ブランドそのもの」になります。
でも、それを支えている販売の現場では、
“完璧な対応”ではなく、“自己流のやり方”が当たり前になってしまうことがあるのです。
ズレは「故意」ではなく「構造」で起きる
代理店が勝手に逸脱している──そう思ってしまいがちですが、
多くの現場では「知らなかった」「前からこうしていた」がほとんどです。
- 資料はもらったけど、どれが最新か分からない
- マニュアルはPDFだけ渡されて、誰も開いていない
- 「この表現NG」と聞いた気もするが、確認手段がない
つまり、“守らせようとしていない”のではなく、守りようがない構造なのです。
だったら、私たちはこう考えなければいけません。
「ちゃんと守ってもらうには、何が必要なのか?」
PRMで「伝わっているか」まで支援する
PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)は、
単なるポータルやファイル置き場ではありません。
それは、“本部の意図”が、現場の“行動”に変わっているかを見届ける装置です。
たとえば──
- ブランドガイドラインは、PDFで渡すだけではなく、「いつ・誰が・どこまで見たか」を記録する
- 資料は、最新版のみをダウンロード可能にし、古いバージョンは自動で非表示に
- 独自POPを作るときには、申請フローを通し、承認ログが残るように
- 導入支援の品質を一定化するため、チェックリスト形式で進行を記録する仕組みをつくる
こうした仕掛けが、「守られているはず」から「守られていることが確認できる」状態へと変えていきます。
「怒られないため」ではなく、「信頼され続けるため」に
ブランドは、広告やデザインの話だけではありません。
代理店という“他者”に製品を預けるとき、私たちの目の届かないところで、ブランドは試されている。
だからこそ、
「ちゃんと渡している」「研修はした」ではなく、
“現場でどう使われているか”を見届ける責任が、本部側にはあるのだと思います。
PRMの役割とは、単に効率化することではなく、
“信頼が守られていること”を確認できる構造をつくることにあります。
その信頼こそが、ブランドです。
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