
顧客本位の業務運営が「実行力」で問われる時代へ ――2024年FD原則改定にどう向き合うか
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顧客本位とは何か──FD原則の意図を捉える
「顧客本位の業務運営に関する原則(FD原則)」は、金融庁が2017年に策定した行動指針であり、国民の安定的な資産形成を支えると同時に、金融サービスへの信頼回復を目指すものです。
特徴は、法令遵守の延長ではなく、「プリンシプル・ベース」の考え方を採っている点にあります。企業ごとに業態やビジネスモデルが異なることを前提とし、原則の趣旨に沿った自律的な運用設計が求められます。
また、原則の一部には「コンプライ・オア・エクスプレイン(遵守または理由の説明)」が組み込まれており、単に「やったかどうか」ではなく、「なぜそうしたか」の説明責任も課されます。
2024年改定のポイント──プロダクトガバナンスへの拡張
2024年9月の改定では、「プロダクトガバナンス」に関する補充原則が追加され、制度的にもより踏み込んだ対応が求められるようになりました。
これは、過去に社会的問題となった外貨建て保険や仕組債など、説明責任やリスク管理の重要性が高い商品において、販売前・販売時・販売後を通じた一貫した品質管理を行うことが主旨です。
主な要求事項は以下の通りです:
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製販一体の責任体制
商品組成部門と販売部門が連携し、顧客の利益を中心に据えた体制構築 -
想定顧客像の明文化と共有
対象顧客層を明確化し、設計段階の意図を販売現場と共有 -
販売後の実態検証
実際の販売が想定顧客と一致していたか、継続的なデータ検証と体制改善 -
プロポーショナリティの考慮
商品ごとのリスク・複雑性に応じた柔軟な対応レベルの設計
実行が問われる時代に──形式で終わらせないための視点
制度対応というと、書類の整備や社内通達で済ませてしまうケースも少なくありません。しかし今回の改定では、「実効性」の検証と可視化が重視されています。具体的には次のような落とし穴があります:
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方針だけで終わっていないか?
社内方針を掲げただけでは不十分。実行状況の見える化や定期的な更新が必要です。 -
通達・研修で「やったこと」にしていないか?
配信記録や出席率だけでなく、理解度や行動変容までを把握すべきです。 -
組織内の温度差を放置していないか?
一部の拠点や担当者における未実行が、全社的なリスクにつながる場合もあります。
顧客本位を“実装”する3つのステップ
方針を示すだけでなく、それが現場にどう伝わり、どう実行されているかを可視化・検証していくことが求められます。
以下の3点が、その実装の要となります。
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実行状況の可視化
通知・研修の配信や出席状況だけでなく、理解度テストや未対応者の把握など、運用実態の全体把握。 -
顧客属性との整合性の検証
販売結果が設計段階での想定顧客像と乖離していないか、販売データをもとに定期的にチェック。 -
フィードバックサイクルの設計
現場からの問い合わせやクレーム、好事例などの声を拾い、商品や運用体制の改善に活かす仕組み。
PRMONEが支援する「実行の見える化」
PRMONEは、こうした実行状況の可視化と改善サイクルの定着を支援するプラットフォームです。
制度対応そのものを目的とした製品ではありませんが、FD原則が求める「実行状況の可視化」や「行動の定着支援」に対して、現場の運用を支える多くの機能を備えています。
課題 |
PRMONEの支援機能(一例) |
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指示の徹底 |
通達の配信、既読確認、再通知管理 |
研修の実施と追跡 |
受講履歴、テスト結果、未受講者の可視化 |
教育水準のばらつき管理 |
部署・個人別の理解度と行動記録の比較 |
顧客像との乖離の把握(開発中) |
想定顧客と販売データの照合分析 |
フィードバックの集約 |
問い合わせ・クレームの記録と分析 |
“やったかどうか”ではなく、“伝わり、現場が動いたかどうか”を把握することで、PRMONEは企業の「実行責任」の遂行を後押しします。
おわりに──理念を、現場へ。
顧客本位は理念であると同時に、現場での再現性ある実行が求められるテーマです。
方針、通達、研修、記録、フィードバック。それらが分断されず循環することで、初めて顧客本位の実践が形になります。
PRMONEは、こうした「理念と運用」の間をつなぐ実行支援インフラとして、企業の信頼構築と運用力強化に貢献していきます。