数を増やしても、成果は増えない。

──それに、気づき始めているのではないでしょうか。

チャネル開拓の現場では、長らく「とにかくパートナーの数を増やす」ことが優先されてきました。
確かに、接点を広げることでリーチは増える。
けれど──

「登録はしても、動いてくれない代理店が多い」
「育てるにもリソースが足りない」
「結局、成果が出るのは毎回同じ代理店」

という状態になっていないでしょうか。

いま必要なのは、誰でもパートナーにする時代からの脱却です。
本記事では、再設計すべきパートナー開拓戦略と、
選ばれる側の代理店という視点について考えます。

パートナーは「増やすもの」から「育てる価値のある相手を選ぶもの」へ

これまでのチャネル戦略では、「裾野を広げれば成果が出る」という考え方が主流でした。
しかし、それは十分な支援体制と、行動データの分析基盤が整っていない時代の話です。

いまはむしろ──

  • 反応のない代理店が増えることで、支援リソースが分散されてしまう
  • 支援しないと売れない代理店ばかりになることで、自立的なチャネルが構築できない

という構造的な疲弊が起きています。

その結果、「代理店を選ぶ側」にならなければならない状況が生まれています。

パートナー開拓にも「選定基準」が必要である

これからは「どこでも・誰でも」ではなく、
自社の支援戦略に適合した代理店を、戦略的に迎え入れる必要があります。
では、どんな基準で代理店を選ぶべきなのでしょうか?

指標1:商材適合性

観点

判断基準

顧客層の一致

自社の主要ターゲットに代理店がすでにリーチしているか

取扱商品の近似性

同じ業界・周辺ソリューションを扱っているか

技術的・業務的な理解のしやすさ

複雑な製品に対応できるリテラシーがあるか

指標2:支援活用の意欲

観点

判断基準

情報への反応速度

案内資料・ウェビナーに対する初期反応があるか

トレーニングへの積極度

学習コンテンツを自ら受講しようとする姿勢があるか

本部との接点維持

面談・フォーラムなどへの参加意欲が継続的に見えるか

指標3:将来の共創ポテンシャル

観点

判断基準

提案力・創意工夫

既存施策への“独自の展開”事例が見られるか

顧客理解

現場情報を言語化して共有してくれるか

関係性の対等性

“やってもらう”だけでなく、フィードバックを返してくれる関係を築けるか

数を絞る勇気と、育てきる戦略の両立

「選ぶ」とは、誰かを選ばないことでもあります。
そして、少数を選ぶならば、選んだ相手に対しては育成責任が生じます

  • 登録して終わりではなく、オンボーディングをきちんと設計する
  • その代理店が成果を出せるよう、支援導線を整備する
  • 成果が見えたら、支援対象から共創対象へと昇格させる

数を減らすのではありません。
成果を出せるチャネルにするための再構築なのです。

「代理店が選ばれる」構造は、むしろ健全である

パートナー開拓において、「どの企業でも歓迎する」という姿勢は一見寛容に見えますが、
実は本部側の準備不足や戦略不在のサインでもあります。

逆に、自社の支援戦略やプロダクト特性を踏まえて、「うちはこういう代理店と組みたい」と言えることは、
むしろ代理店側にとっても健全なパートナー選びを促すことになります。

チャネルとは、広げるだけでなく、整えるものである──
今、求められているのはその構造転換です。

最後に:これからの代理店は、「選ばれる」存在であるべき

本部からの支援に反応せず、成果にもつながらない。
そうした重力のない関係に、本部リソースを割き続ける時代は終わりつつあります。

選ぶべきパートナーを定義し、
その人たちにだけ正しく支援を届けるチャネル構造を持つこと。

それが、
支援の投資効率を高め、チャネルの質を押し上げ、結果として売上にもつながる道筋です。

あなたのチャネルは、これからも「誰でも受け入れる」構造のままでしょうか?
それとも、「共に育つ相手を選び、共に成長する」チャネルへ再設計できるでしょうか?