支援リソースは限られている──その前提から逃れられる現場はありません

代理店向けの支援活動をしていると、こんな感覚にぶつかる瞬間があります。

「支援しても反応がないところに、どこまで時間を使うべきなのか」
「やる気のある代理店は自走しているし、ないところには響かない」
「全部に同じことをやっても、結局成果は偏ってしまう」

現場には「平等に支援しなければ」という空気があります。
しかし現実には──限られた工数・予算のなかで効く支援に集中する必要がある。

では、どの代理店を優先すべきか?
伸びる代理店とは、どんな兆しを見せているのか?

本記事では、それを客観的に見極めるための指標設計について考えます。

売上だけを見ていると、“育つはずの代理店”を見落とす

代理店の評価にありがちな話です。

  • 「売上が出ているところに、支援を集中する」
  • 「動いてくれたところを評価して、他はやる気がないと切り捨てる」

これは一見合理的なようでいて、
まだ成果が出ていないが、兆しのある代理店を見逃すリスクを抱えています。

たとえば──

  • トレーニング動画をすでに複数本完了している
  • 本部からの情報を継続的に開封している
  • 自主的な問い合わせや資料請求が始まっている

こうした動き出しの反応を捉えずに、成果が出ていないからといって支援対象から外してしまうと、
育てられるはずだった代理店を見捨ててしまうことになります。

支援の“集中と選別”は、主観ではなくデータで行うべき

支援対象を選ぶには、明確な基準が必要です。
そしてその基準は、成果ではなく関与の兆しに基づいて設計するのが有効です。

たとえば、以下のような多層的なスコアリングが考えられます:

【1】反応スコア

  • 資料開封率
  • 動画視聴完了率
  • ポータルログイン頻度

支援情報に対して受け取りの姿勢があるか

【2】行動スコア

  • キャンペーン参加回数
  • 自主提案数/案件登録数
  • フィードバック提出率

→ “支援を起点に動いたことが確認できるか

【3】継続性スコア

  • 継続して反応しているか(単発で終わっていないか)
  • 営業活動が定期化されているか
  • 過去半年の活動件数

→ “一時的な関心ではなく、関与の定着があるか

これらのスコアを成果とは別軸で評価することで、
「まだ売上は出ていないが、これから伸びる可能性の高い代理店」を特定することができます。

優先順位は、KPIとスコアのマトリクスで整理できる

以下のようなマトリクスを設けると、支援対象のポートフォリオ化が可能になります:

関与スコア

関与スコア 低

成果 高

成熟代理店:共創候補(管理は薄くてもOK)

放置注意層(成果はあるが関係が薄い)

成果 低

育成対象(投資に値する)

撤退/再エンゲージの見直し対象

→ “成果が出ていても、関与が低ければチャーンリスクがある”
→ “今は成果がなくても、関与が高ければ支援対象にすべき”
こうした視点があってこそ、支援の「集中と選別」は合理化されます。

すべてを支援しない勇気と、その理由を説明できる仕組みを

本部リソースは限られています。
だからこそ、「どこに支援するか」ではなく「なぜそこに支援するのか」を説明できる状態が必要です。

  • 営業現場から「うちの担当代理店も手厚くしてくれ」と言われたとき
  • 経営層に「支援の優先順位はどう決めているのか」と聞かれたとき

その答えが「勘」や「付き合いの長さ」では、支援の正当性は失われます。

支援対象の選定こそ、戦略。
その選定を主観から構造へ引き上げるために、関与スコアや支援KPIは存在しています。

最後に:誰を伸ばすかは、誰を信じるかと同義である

チャネル施策において、全体最適とは「全員に同じことをする」ことではありません。
むしろ、可能性のある相手に、適切な支援を先回りして届けることです。

  • 成果の兆しが見える代理店に
  • 継続的に関心を示しているパートナーに
  • 一歩を踏み出し始めた相手に

そこに本部のリソースを集中できるかどうかで、チャネル全体の伸び方は大きく変わってきます。

全代理店を支援する必要はあるのか?という問いの答えは、
「いいえ。でも、支援すべき代理店は、指標でちゃんと見極められます」です。