
一度“止まった”代理店に、どう向き合うか──再エンゲージ戦略の設計ポイント
「以前は動いていたんだけど、最近ぱったりなんです」
代理店支援に携わっていると、こうした言葉を耳にすることがあるはずです。
「以前はキャンペーンも積極的に参加してくれていた」
「案件もそれなりに出ていたのに、最近は音沙汰がない」
「トレーニングは受けてくれたけど、そこから動きがない」
こうした“止まった代理店”は、どこのチャネルにも一定数存在します。
動かなくなった理由も、一律ではありません。
- 担当者が異動した
- 内部方針が変わった
- 商材との相性が悪くなった
- 単純に忙しくて後回しになった
問題は、“なぜ止まったか”が見えないまま、
「今後どうすべきか」も判断されず、放置されることです。
「再エンゲージ」が必要なのは、過去に動いた履歴があるから
“止まった代理店”がやっかいなのは、
一度動いていた、という事実があることです。
- すでに支援コストを投下している
- 親しみや人間関係がある
- 過去の成功体験がある(ように見える)
だからこそ、本部としても
「もう一度動いてくれないか」という期待を捨てきれない。
けれど同時に、「また支援するには理由がほしい」とも感じている。
この葛藤に対して、“再エンゲージ戦略”という構造的アプローチを設計する必要があります。
再エンゲージすべき代理店かどうかの見極め方
以下は、休眠代理店の分類と、対応方針を分けるための軸です。
【1】過去に成果があったか?
条件 | 意味 |
---|---|
売上・案件の実績があった | 再現性の可能性あり。エンゲージメント低下の一時的要因を疑う。 |
成果がなかった | 最初からミスマッチの可能性。支援を見直す対象。 |
【2】関与の兆しがまだ残っているか?
条件 | 意味 |
---|---|
ログイン履歴・資料閲覧・問い合わせ履歴が最近ある | 明確な反応はないが、“見ている”可能性あり。再アプローチの価値あり。 |
完全に無反応が長期化している | 再起動のコストに見合わない可能性。見切りの検討を。 |
【3】支援履歴が“途中”で終わっているか?
条件 | 意味 |
---|---|
トレーニング未完了/施策未着手 | 導線に課題があり“もったいない停止”の可能性。リマインドで再開しやすい。 |
支援フローが完了している | 意図的な離脱である可能性。アプローチを変える必要あり。 |
再エンゲージの基本原則:接触・動機づけ・誘導の再設計
再起動を試みる際には、以下の順番が基本です:
① 接触:まずは「あなたを覚えています」のサインを出す
- 一斉通知ではなく、パーソナライズされた案内(例:前回キャンペーン参加履歴の言及)
- 「以前ご一緒した〇〇施策ですが、今年も始まります」など文脈のある呼びかけ
② 動機づけ:今動く理由をつくる
- インセンティブ設計(例:期間限定のキャンペーン参加枠/受注支援制度)
- 競合比較・成功事例の提示で、“うちもやらなきゃ感”を促す
- 「他社事例からヒントが得られる」など、自社課題の解像度を高める仕掛け
③ 誘導:復帰しやすい導線にする
- 改めて1ステップ目を明示する(例:トレーニング受講/カレンダーリンク付きの面談予約)
- 過去のやりとりを要約し、「ここから再開できます」と案内図をつくる
- メールではなくSMSや電話など、別チャネルでの再接触も検討
PRMプラットフォームが“止まった代理店”を見つけ出す
PRMONEのような支援履歴・行動ログを記録する仕組みがあると、
以下のような再エンゲージ対象の抽出が可能になります:
- 過去6カ月間、成果ゼロ/反応ゼロ
- ただし、トレーニング動画は70%視聴済み
- 一度はキャンペーンに参加履歴あり
こうした「止まったけれど、完全には離れていない」状態の可視化が、
次の一手の精度を高めます。
最後に:「止まった」代理店は、「止まったままでよい」とは限らない
代理店との関係性は、常に流動的です。
- 担当者が変わる
- 製品ラインアップが変わる
- 市場環境が変わる
- 本人たちの意識が、時間とともに変わる
だからこそ、一度止まったからといって「過去の人」として扱うのではなく、
“今こそ再起動できる”タイミングを見極めて、動くことが戦略になります。
支援の打ち切りも大事。
けれど、もう一度関係を築ける相手を見つけて、的確に仕掛けることも同じくらい重要です。
休眠パートナーを“次の成果”につなげられるか──
それが、チャネル全体の底上げに効いてくるフェーズです。
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