代理店にスコアをつけるべきか?──“成果モデル”を実務で使うための評価設計とは

「この代理店、動いてくれそうです」
「いや、前回も期待外れだったから慎重にした方がいい」
──この会話、どこか他人事に聞こえませんか?
チャネル支援の現場では、 “誰を支援するか”という判断が、いまだに属人性に頼りがちです。
- 担当者の勘や経験
- 営業との付き合いの長さ
- 過去の“なんとなく”の印象
こうした要素で支援対象が決まってしまうと、 組織としての支援戦略はブレ続けます。
前稿では「成果モデルの言語化」について述べましたが、 今回はそれを“スコア”という評価軸に変え、実務で使える形に整える方法を整理します。
なぜスコアが必要なのか?
- 理由①:「支援対象の選定」に根拠を持たせるため
成果モデルがあっても、「その代理店がモデルにどれだけ近いか」が数値化されていなければ、
結局は個人の主観に戻ってしまいます。
- 理由②:「優先順位」を可視化するため
全代理店に均等な支援はできません。
誰に何をどこまで支援するかを決めるには、相対的な位置づけ=スコア化が不可欠です。
理由③:「他部門と共有できる言語」にするため
スコアは、本部/営業/CS/経営の間で判断基準を揃える共通言語になります。
「なぜA社には支援し、B社は外すのか?」を、感覚ではなく構造で説明できます。
スコア設計のための3ステップ
【STEP 1】 成果モデルの評価軸を「スコア化可能な要素」に分解する
以下のように、定性→定量に落とす視点の変換がカギになります:
成果モデル要素 | スコア指標例 |
---|---|
教育意欲 | トレーニング受講完了率/受講速度 |
提案行動 | 資料DL数/初回提案までのリードタイム |
本部との接点 | 定例会出席率/問い合わせ頻度 |
成果傾向 | 案件登録数/過去受注数/売上伸長率 |
継続性 | 3ヶ月以上のアクティブ状態維持回数 |
【STEP 2】 各要素に“重みづけ”を設定する
すべての指標が等価ではありません。
たとえば以下のように設計します:
- 提案行動:30点満点
- 教育完了:20点満点
- 成果実績:30点満点
- 継続性・関与姿勢:20点満点
→ 合計100点スコア
※ 最終的に 60点以上=集中支援対象 など、ランク定義も可能です。
【STEP 3】 スコアの“活用ルール”を設け、定期更新する
スコアは作って終わりではなく、運用設計が肝心です:
項目 | 設計ポイント |
---|---|
更新頻度 | 月次 or 四半期で定期更新。行動ログと連動させる |
活用先 | 営業会議/支援リスト策定/撤退判断/成果分析に活用 |
スコア変動のログ | 上がった/下がった要因を記録することで学習が可能に |
スコアは「支援を合理化する道具」であって、関係の切断ではない
「スコアで判断するなんて冷たい」
そう感じる方もいるかもしれません。
しかし本質は逆で、限られたリソースを“根拠を持って配分する”ことこそが誠実な支援です。
また、スコアは“今の状態”であり、
支援によって改善すれば“伸びしろ”があることも示せます。
最後に:判断の言語を、感覚から構造へ
属人的な支援判断が繰り返される限り、
成果は“偶然”に左右され続けます。
- 誰に、なぜ支援するのか
- その判断が、どれほど成果に寄与しているか
こうした問いに、構造で答えられる状態をつくること。
それが「成果モデルのスコア化」がもたらす最大の価値です。
支援の現場に、“見える基準”を。
それが、パートナー支援を“仕組み”に進化させるための一歩です。