
そのスコア、本当に“切っていい”基準ですか?──代理店撤退判断に必要な評価の使い方
「スコアが低いので、この代理店はもう外していいと思います」
「スコアが低いので、この代理店はもう外していいと思います」
最近、こうした声を耳にすることが増えてきました。
パートナー支援の高度化が進み、
“感覚”や“担当者の印象”ではなく、データとスコアで判断する構造が整いつつあります。
これは大きな進歩です。
ただ──
「スコアが低い」=「支援対象から外すべき」
本当にそうでしょうか?
スコアはあくまで“状態の指標”であり、関係の終わりを告げる判定ツールではありません。
この記事では、撤退判断におけるスコアの正しい使い方と、
“切る”のではなく“次のアクションを決める”ための設計視点を整理します。
スコアは「結果」ではなく「兆し」である
スコアが低い=NG、ではありません。
スコアは“その代理店が今どういう状態か”を示すスナップショットです。
たとえば:
スコアが低い理由 | 判断すべきこと |
---|---|
教育未受講 | 単に導線が届いていないだけかもしれない |
提案実績な | 本部資料が使いづらい可能性もある |
関与なし | 担当者異動など、タイミングの問題かも |
→ 構造的に動けない状態なのか、そもそも適合しないのかを見極める必要があります。
スコアを“撤退の判定基準”として使う際の3つの誤解
【誤解①】「スコアが一定以下=支援打ち切り」と即断する
スコアは、“過去に動かなかった”ことを示していても、“今後も動かない”とは限りません。
- 新キャンペーンとの相性
- 担当者変更
- 周辺市場の変化
──これらが変われば、スコアも変わる可能性があります。
【誤解②】「切るか続けるか」の二択で考えてしまう
撤退判断は0か100かではなく、以下のような“支援濃度”の調整設計が必要です。
スコア層 | 対応 |
---|---|
高スコア | 個別支援/事例化/重点投資 |
中スコア | 教育・キャンペーン中心の支援継続 |
低スコア | 再エンゲージ設計/受け身支援/様子見 |
→ 支援をやめるのではなく、「支援方法を変える」ことが重要です。
【誤解③】「スコアは動かせないもの」と捉えてしまう
スコアは変わります。
変えるためのアクションを設計しなければ、
“ただ評価して終わる仕組み”になってしまいます。
たとえば:
- 教育未完了 → リマインド設計/短縮版配信
- 提案未実施 → キャンペーン連動型テンプレート提供
- 関与なし → 営業との同行や面談トリガー設計
→ “上げにいくための支援計画”が設計できているかが問われます。
スコアをもとに撤退判断するための4つの観点
撤退を検討する際は、以下の4つの視点から多面的に見ることが重要です。
① 成果との乖離幅
「スコアが低い」だけでなく、「成果も全く出ていない」ことが明確か?
② 改善アクションの不発歴
これまでに支援・改善のアプローチを試みたか? それでも変わらなかったか?
③ 再起動コストと効果の見積もり
再エンゲージに向けてどの程度の工数が必要で、どれだけの可能性があるか?
④ 戦略との整合性
その代理店が、今後のチャネル方針(ターゲット市場・商品)と合致しているか?
→ これらを整理したうえで「撤退」と判断するのであれば、戦略的な再配分と言えるのです。
最後に:「切る判断」よりも、「切らない根拠」を持てるかが大切
代理店を切ることは、リスクもあります。
だからこそ、本当に切ると決めるなら、構造的な根拠が必要です。
そして同時に、
「まだ切らない理由」や「再起動の設計」も持っているかどうかが、支援部門の成熟を分けます。
スコアは、“見捨てる理由”ではなく、
“支援の再設計”と“選別の正当化”の両面に使える武器です。