
診断して終わり、になっていませんか?──チャネルスコアから支援ポートフォリオを再設計する方法
「チャネル全体をスコアで見える化しました」
──でも、その後、何か変えましたか?
前稿では、代理店の活動量・成果・関係性などを軸に、チャネル全体の健康状態を診断する視点について解説しました。
ただし、スコア設計はゴールではなく、起点です。
本稿では、チャネルスコアをもとに「誰に、どのような支援をすべきか」を再構成するためのポートフォリオ再設計の考え方をお届けします。
診断は“把握”、ポートフォリオは“意思決定”
診断によって、「動いている代理店」「成果が出ていない代理店」「関係性が弱い代理店」などが見えてきたとします。
しかし、そこから支援の量や内容を変えていないなら、“知っただけ”にすぎません。
必要なのは、
- 支援の再配分
- 撤退と集中の判断
- 将来に向けた“打ち手”の再構築
これが「支援ポートフォリオの再設計」です。
再設計の基本:チャネルを“4つの象限”で捉え直す
以下のように、チャネル全体を4象限にマッピングすると、取るべきアクションが明確になります:
活動量/関係性 | 成果 | 支援戦略 |
---|---|---|
高 | 高 | 【主力】共創・巻き込み・エバンジェリスト化 |
高 | 低 | 【準主力】施策調整・成果導線の再設計 |
低 | 高 | 【放置主力】関係強化/体験共有/温度UP施策 |
低 | 低 | 【非アクティブ層】再エンゲージ or 撤退判断 |
各層への支援再構築:意思ある「差別化」が必要
【1】主力層:支援の“共創化”へ進める
- 教育・提案だけでなく「一緒に育てる施策」を共有
- マーケ連携・プロダクトフィードバック・共催企画などへ拡張
- 支援を“与える”から、“共につくる”に進化させる
【2】準主力層:支援の“点検と最適化”
- 動いてはいるが、成果が出ていない原因を構造で整理
- 教育導線のズレ、資料が刺さっていない、初動が遅い…
- 支援テンプレやタイミングをチューニングするだけで動く可能性が高い層
【3】放置主力層:関係の“再接続”
- 案件は出ているが、支援が届いていない/使われていない状態
- 本部視点では成果があるのに、「この会社で支援した記憶がない」というギャップが起きがち
- 成果の裏側をヒアリングし、何が効いていたのかを言語化・再現
【4】非アクティブ層:再エンゲージ or 撤退
- 数字も反応も動きもない層に、“とりあえず支援”はもはや贅沢
- 明確な再エンゲージ設計(例:特定商材+期間限定フォロー)を提示
- それでも反応がなければ、“支援しないこと”を意思決定する
ポートフォリオ再設計の実務ステップ
- チャネルスコアを整える(前稿参照)
- 各象限への分類を行う(四半期ごとに)
- 層ごとに支援方針を見直す
・支援内容(教育/営業支援/共創など)
・支援頻度・チャネル(対面/MA/テンプレ)
・KPIの再設定(提案数/自走度/再利用率など) - “やめる支援”もリストアップする
最後に:“診断”は行動につながらなければ意味がない
スコアで見えたチャネルの現状に対して、
- どこを育て、
- どこを攻め、
- どこを引くか──
これを定義することが、PRMにおける戦略的支援の出発点です。
リソースには限りがあります。
だからこそ、支援の「再設計」こそがチャネルの持続性を決めるのです。