
チャネルは“今”だけ見ても崩れる──主力・準主力・次世代をどう揃えるか
「この代理店が動いているから、今月もなんとかなりそうです」
──その「主力代理店」に、ずっと頼り続ける設計になっていませんか?
「売れている代理店にリソースを集中している」
「新しい代理店は入れているけど、育成は後回し」
「売れていない代理店は様子見のまま…」
このような状況が続くと、
チャネル全体が“現在依存”に陥り、未来が崩れる構造になりがちです。
本稿では、チャネルを“現在だけでなく、未来までを含めた構造”として設計する視点──
「主力・準主力・次世代」の3層構造と、それぞれへの支援設計について整理します。
「売上が出ている=戦略的なチャネル設計ができている」とは限らない
成果の大きい代理店は確かに頼もしい存在です。
しかし、以下のような状況が起きていないかを点検してみてください:
状況 | 問題の兆候 |
---|---|
売上上位5社で8割の売上を占めている | チャネルが“過集中”状態 |
新規代理店の提案率が2割未満 | 育成が機能していない |
準主力層が何年も固定化 | “未来の主力”が育っていない |
→ “今売れている”ことが、むしろチャネルの硬直化を進めている可能性もあります。
チャネル設計を「主力・準主力・次世代」で捉え直す
【主力層】 今、成果を支えているパートナー群
- 売上/案件/提案数などが安定的に高い
- 本部や営業との関係性が成熟している
- 課題:依存度が高すぎると、退会や変化に弱い
支援方針:維持・共創・展開支援(育てるより活かす)
【準主力層】 動ける力を持ち、あと一歩で主力に近づく層
- 案件実績や提案はあるが、継続性に波がある
- 伸びるポテンシャルはあるが、施策がハマっていない
- 課題:“いつまでも準主力”になっているケースが多い
支援方針:重点支援/テンプレ展開/成果トリガーの投下
【次世代層】 これから動く可能性のある育成対象層
- 教育は受けている/資料は見ている
- 過去に動いたが、最近は止まっている
- 課題:動くきっかけが設計されていない/見捨てられている
支援方針:再エンゲージ支援/ハードルの低い提案機会の提供/アクションログの可視化
3層構造でチャネルを設計することで得られるメリット
メリット | 説明 |
---|---|
長期的視野を持った支援配分ができる | リソースの集中と分散のバランスがとれる |
将来の主力候補を“計画的に育てる”視点が持てる | “期待だけ”の準主力を放置しない |
チャネルの健全性を客観的にモニタリングできる | スコア/KPIを層別に見ることで傾向が掴める |
配分戦略の一例:支援リソースを意図的に分けてみる
層 | 割合の目安 | 支援内容の例 |
---|---|---|
主力層 | 50% | 高度な共創/事例化/共同マーケなど |
準主力層 | 30% | テンプレート支援/キャンペーン連動施策/教育再設計 |
次世代層 | 20% | 動き出し支援/ミニアクション支援/LMS※ +初回提案トリガー |
→ 成果だけでなく“未来の投資”を含めた支援バランスがポイントです。
※LMS:ラーニングマネジメントシステム
最後に:「チャネルの未来」は“今”の配分に表れる
成果を出している代理店に支援を集中するのは、ある意味“正解”です。
ただしそれは、チャネルを“現在の売上構造”だけで判断している限りの話。
- 将来の主力を育てる仕組みがあるか?
- 準主力の“脱出条件”は明確か?
- 動いていない層に、“動き出す仕掛け”は設計されているか?
──これらの問いに、構造として答えられるとき、
チャネルは“今”だけでなく“未来”にも強くなるのです。