
なぜその代理店は“あなたの製品”を提案しないのか──“相乗り”パートナーに選ばれるための差別化戦略
「提案してくれてると思っていたのに、他社製品が出てたんです…」
──そんな苦い経験、ありませんか?
代理店チャネルを活用するビジネスでは、
1社専属ではなく、複数ベンダーと契約する“相乗り”構造が当たり前になりつつあります。
「A社ともうちの競合のB社、どっちの資料も持ってます」
「案件が出たら、その時に合う製品を選んで提案します」
「SFAには代理店として登録されてるけど、全然案件が来ない…」
つまり、“代理店になってくれている”=“提案してくれている”ではないのです。
では、どうすれば「選ばれる側」になれるのでしょうか?
本稿では、相乗り代理店における“提案される側”になるための差別化戦略を解説します。
「相乗り構造」が生まれるのは当たり前
まず前提として、代理店が複数社を扱うのは合理的な行動です。
代理店の視点 | 行動理由 |
---|---|
売上機会を最大化したい | 商談機会が減る中で、提案の幅を持ちたい |
顧客ニーズが多様化 | 価格帯・機能・ブランドによって使い分けたい |
ベンダーごとに支援の質が異なる | 資料・対応スピード・営業連携などにばらつきがある |
どこが伸びるか分からない | とりあえず複数と付き合って様子を見る |
“相乗り”は、代理店にとってのリスクヘッジであり、顧客価値対応の手段なのです。
相乗りの中で「選ばれる」代理店支援には、差がある
代理店が複数製品を扱っている場合、
「どれを提案するか」は、代理店内で“なんとなく”決まっていることが多いです。
以下のような微差が、提案される・されないを左右します:
差別化ポイント | 選ばれる理由になるか? |
---|---|
提案資料の使いやすさ | 顧客にそのまま出せる → 手間が減る |
営業トークの再現性 | トークスクリプト/Q&Aがある → 自信を持って話せる |
問い合わせ対応の速さ | 案件中の不安が少ない → 顧客対応に安心感 |
キャンペーンとの連動 | 「今出すとお得」という理由づけができる |
教育/支援のしやすさ | 新人でも扱いやすい → 組織で回せる |
よくある“選ばれない側”の落とし穴
「うちの製品は機能が一番いいはず」
「価格も他社より安いのに」
「登録してもらってるし、あとは現場に任せてる」
これでは足りません。
機能・価格・契約よりも、“扱いやすさ”と“安心感”が代理店の意思決定を左右します。
選ばれるための「差別化支援」3つの戦略
【戦略①】 “提案のしやすさ”を構造でつくる
- 提案資料のフォーマット整備(編集可・一言コメント入り)
- Q&AやFAQの簡易版(PDF1枚で読める)
- 提案トークのパターン化(3パターンのみ)
→ 「営業が話しやすい状態」を意識することで、出番が増える
【戦略②】 “反応の良さ”を体験させる
- 初回の問い合わせ対応は即レス → 安心感を与える
- チャットや専用問い合わせフォームの整備
- 案件登録後の“動きの速さ”で他社と差がつく
→ 「提案すると動きが早い」製品は、“次も提案しよう”と思わせる
【戦略③】代理店内部の“推進者”を見つけて巻き込む
- よく使ってくれている担当者にヒアリング
- その人が「使いやすい」と言っている支援を他社にも展開
- 代理店内で「この製品は〇〇さんの得意ジャンル」と位置づけされると強い
→ 属人性を逆手に取って、社内ファンを起点に展開する
最後に:“取扱い製品”ではなく“提案される製品”になるために
相乗り代理店との関係では、
契約の有無ではなく、日常的な“扱われ方”が勝敗を分けます。
だからこそ、こう問い直す必要があります:
- 代理店にとって、自社製品は「出しやすい資料」か?
- 「問い合わせたときにすぐ反応してくれる」存在か?
- 「話せる・売れる」ための道具が十分か?
代理店の目の前には、あなたの製品だけがあるわけではありません。
だからこそ、選ばれる支援が必要です。