「結局この支援って、どれくらい効いたの?」

この問いに即答できるチャネル担当者は、まだ多くはありません。
「教育も動画も提供してるけど、どの代理店にどれだけ刺さってるのか分からない」
「提案数は伸びてるけど、それがキャンペーンの影響なのか営業の努力なのか判断できない」
「上から“支援の効果は?”と聞かれても、“手応えはあります”としか言えない」

──こうしたモヤモヤは、「支援の投資対効果(ROI)」を測る設計が不十分なことに起因します。

本稿では、「どこに、どれだけ支援し、どのような成果が出たか」を見える化する評価設計の考え方を整理します。

なぜ“投資対効果”の見える化が必要なのか?

● 「支援はしている」けれど、「成果と結びついているか」が説明できない

→ 支援リソース(人・時間・コンテンツ)と成果(売上・案件・提案)が紐づいていない

● リソース配分の優先順位をつける根拠が弱い

→ 「どの支援が効果的だったか」が言語化できないため、次回施策が属人的になる

● 経営・営業への説明力が弱く、「支援=コスト」と見なされやすい

→ 効果の可視化ができれば、支援が“投資”であることを証明できる

評価設計の3ステップ:「支援ログ → 成果ログ → 紐づけの構造」

【STEP 1】 “支援ログ”を整備する(何を、どれだけ行ったか)

支援カテゴリ

ログ例

教育

受講数、完了率、初回視聴日、復習回数など

情報提供

資料送付回数、DL数(ダウンロード数)、開封率

コンタクト

面談回数、イベント参加、問い合わせ対応件数

営業支援

提案添削、共催企画、テンプレ提供数など

“どこに、どれだけの手間がかかったか”をまず見える形にする

【STEP 2】“成果ログ”を可視化する(何が起きたか)

成果カテゴリ

ログ例

アクション

資料活用/案件登録/提案数

結果

成約/売上金額/継続取引

波及

自走化の兆し/ 問い合わせ減/営業負荷の軽減

“売上”だけでなく、行動の変化や自立性も成果として見る視点が重要

【STEP 3】支援と成果の“因果構造”を定義する

  • 「この教育 → このトークスクリプト→ この案件登録」
  • 「このイベント → この問い合わせ増 → この受注」

など、“支援→行動→成果”の流れを複数のパターンで整理

→ 定性的でよいので、「この支援が効いた」と言える構造を言語化することがポイント

支援と成果の“結びつき度”を示す簡易評価マトリクス

支援量

成果量

評価

高い

高い

★投資効果◎: 重点支援継続対象

高い

低い

△見直し対象: 支援方法がズレている可能性

低い

高い

◯効率的:今後の支援テンプレ化対象

低い

低い

×非優先:撤退 or 受け身支援層

→ “どの支援が、どこで効いているか”を俯瞰して判断できる構造が重要

評価に使える“数字”は売上だけじゃない

支援の投資対効果を評価するには、売上以外にも以下のような指標を組み合わせて使うことが有効です:

指標カテゴリ

指標例

行動

資料DL数/提案送付数/教育完了率

成果前兆

初回案件化/問い合わせ減少/反応速度

間接効果

営業稼働の軽減/テンプレ活用数/営業からのポジティブフィードバック

成果=最終結果だけではなく、“効き始めている兆し”も成果として扱う

最後に:「成果は出たか?」ではなく、「何が効いたか?」を語れる状態に

チャネル支援は、結果が出るまでに時間がかかります。
だからこそ、「途中で何が効いていたか」を言語化・構造化しておくことが極めて重要です。

  • 施策のPDCAを回すために
  • 支援対象の優先順位を見直すために
  • 経営や営業と同じ視点で語るために

支援の投資対効果とは、「何がどこでどう効いたか」を証明する力です。
その力が、チャネル全体の支援設計をより戦略的なものに進化させてくれます。