
限られたリソースを、どこにどれだけ使うか──代理店チャネル配分戦略の考え方
「全部の代理店に同じ支援は、現実的に無理なんです」
これは、多くのチャネル担当者が口を揃えて言う本音です。
実際、どんなに体制が整っていても──
- 手厚く支援したいが、営業もCSも人手が足りない
- 伸びる代理店には集中したいが、線引きが難しい
- 全体を見て動いているつもりでも、気づけば“反応の良いところ”ばかり見ている
このように、リソースは有限であり、支援の量と質には“差”が生まれてしまうのが現実です。
そこで必要なのが、意図的に“どこにどれだけ”支援リソースを配分するかという設計=チャネル配分戦略です。
「全代理店に等しく支援」は、戦略ではない
支援が平等であることと、成果が平等であることは別の話です。
むしろ現実には:
- 手厚く支援したのに成果が出ない代理店
- ほぼ放置でも勝手に動いてくれる代理店
- 支援しても反応すら返ってこない代理店
といったバラつきが発生します。
つまり、「一律の支援」ではなく、“効果に応じて支援濃度を設計する”ことが不可欠なのです。
配分戦略の起点:チャネルを3つの層に分ける
まずは、チャネル全体を以下の3層に分類してみてください。
【① 主戦力層(重点支援層)】
- すでに成果を出している
- 行動・提案の頻度が高く、本部と関係も良好
- 支援すればさらに成果を伸ばせる見込みがある
→ リソースを集中投下すべき層
【② 潜在層(成長ポテンシャル層)】
- 過去に成果はあるが、最近はやや停滞気味
- 教育未完了/提案アクションが少ない
- 動き出せば“第二の主戦力”になりうる層
→ 小さな支援を試し、反応を見て判断する層
【③ 維持/整理対象層】
- 提案/教育/反応いずれもない
- 定例的な情報提供は行うが、支援投資は最小限に留める
- スコアが一定以下、再起動にコストがかかりすぎる層
→ 支援撤退 or 再エンゲージの判断を保留する層
支援リソースの“濃淡”はどう設計すべきか
支援対象層 | 投下リソースの目安 | 主な支援手段 |
---|---|---|
主戦力層 | 全体の50〜60% | 個別面談・共催企画・提案レビューなど“人が動く”支援 |
潜在層 | 20〜30% | 教育コンテンツ/キャンペーン連動支援/グループ支援 |
維持層 | 10〜20% | 定期情報提供/セルフサーブ設計/LMSリマインドのみ |
→ “全体の質を上げる”のではなく、“上げるべきところを上げる”という発想が重要です。
現場で配分戦略が崩れるポイントと対処法
- 「営業の付き合い」で主戦力ではない代理店に過剰支援する
→ 成果モデル/スコアに基づく会話の土台を整備する - 本部が“平等意識”にとらわれ、リソース配分をためらう
→ 支援とは“成果への貢献度”で考えるべきことを全体で共有 - 潜在層への支援が“様子見”のまま形骸化する
→ 90日間トライアル支援 → スコア再評価 → 継続判断の仕組みを組み込む
最後に:「どこに使わないか」を決めることも、戦略である
チャネルの強化とは、単に支援を拡大することではありません。
「選択と集中」によって、支援が“効く”構造をつくることです。
- 誰に
- 何を
- どれだけ
- どのタイミングで
──それを明確にすることで、
“成果の出る支援”と“効かない支援”を切り分けられるようになります。
限られたリソースを、「反応のいいところ」ではなく、「伸びるところ」に正しく投下できているか?
配分戦略は、チャネル支援の質を根本から変えるレバレッジです。