
「課題ヒアリングが浅い」と悩む営業が知るべき、“良いイシュー”の立て方
はじめに:「イシュー」という言葉が指すもの
最近、「イシュー型営業」や「イシューから考える企画」という言葉を耳にするようになりました。
しかし実際、「イシューって結局、課題と何が違うの?」という疑問を持つ方も少なくありません。
一般的には「課題」や「問題」と考えられがちですが、イシューとは本来、解決すべき“核心的なテーマや問い”を指します。
単なる「困りごと」や「不満点」ではなく、「自分たちが今、本当に向き合うべき問い」として捉えることで、効果的な問題解決や戦略立案につながるのです。
特に営業や企画の現場では、「顧客の要望を聞くこと」や「困っていることを引き出すこと」が目的化してしまい、結果として「言われたことをそのままやったが、期待された成果が出ない」という事態に陥りがちです。
だからこそ今、「どんな問いを立てるか?」が、これまで以上に重要になっています。
イシューの質が、仕事の質を決める
なぜ、イシューを考えることが重要なのでしょうか?
それは、問いの立て方がすべての起点になるからです。
- 問いがズレていれば、どれだけ正確に“答え”を出しても意味がありません。
- 問いが浅ければ、出てくる解決策も浅くなります。
- 問いが本質を突いていれば、打ち手は鋭く、効果的になります。
つまり、提案の質・支援の成果・プロジェクトのインパクト──
それらすべては「最初にどんな問いを立てたか」によって決まるのです。
良いイシューの3つの条件
では、「良いイシュー」とはどういうものでしょうか?
ここでは、実践的な視点から3つの条件を挙げてみます。
① 表面的でなく、本質をとらえている
現場で見えている課題や不満は、あくまで“現象”です。
そこに飛びつくと、「資料が見られていない」「売上が伸びない」といった“症状”への対処に終始してしまいます。
本質的なイシューとは、その現象を引き起こしている構造や前提そのものに切り込む問いです。
例:
- ×:「代理店が資料を見てくれない」
- ○:「代理店が“必要なときに情報にたどり着ける構造”が整っていないのでは?」
このように、現象の背後にある“構造的ズレ”を見抜くことが、良い問いの第一歩です。
② 顧客の組織構造に根ざした深い仮説がある
「うまくいかない理由」が“個人の能力や努力”に帰結する問いは、イシューとして浅いものです。
本当に解くべきイシューとは、組織やビジネスモデルの構造上、成果が出にくい理由に踏み込んだものです。
例:
- ×:「支援担当がアクションしない」
- ○:「支援のKPIがなく、成果責任が曖昧なままになっていないか?」
仮にやる気があっても、“構造上むずかしい”なら人は動けません。
「なぜ、それが再現されないのか?」を問い直すのが、深い仮説です。
③ 解ける問いである(技術的にも文化的にも)
問いが深すぎて、現実的に“解けない”ようでは意味がありません。
良いイシューは、本質を突きつつも、打ち手が描ける問いです。
例:
- ×:「全員が自律的に動けるようにする」
- ○:「“自律的に動けない構造”の中で最も大きいボトルネックはどこか?」
理想論ではなく、「次の一手」が定義できる粒度まで落とし込むことが重要です。
イシューの質を見極める3つのチェックポイント
実務の中で「これは良いイシューか?」を判断する際、以下の3点を確認してください。
- Whyを3回繰り返しても、構造的な理由に行き着いているか?
- その問いが解かれたとき、具体的な“変化の像”が見えるか?
- 解ける見込みが現実的にあるか?(技術的にも、文化的にも)
まとめ:良いイシューは「成果の核」になる
営業でも、企画でも、プロダクトでも──
成果を左右するのは、結局「最初にどんな問いを立てたか?」です。
- 現象の奥にある構造をとらえ、
- 組織や戦略に根ざした深い仮説を立て、
- 解ける形にまでブレイクダウンする
こうした良いイシューは、提案の重みを生み出します。
単なる“説明”から、“共創”へ。
ただの“対応”から、“変化をつくる”提案へ。
良いイシューを立てられるチームだけが、本当に意味のある価値提供ができるのです。
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