3つの理由とこれからの選択

営業活動はSFAで記録され、
顧客との関係はCRMで一元管理され、
マーケティング施策はMAで反応率までログとして可視化される。

いま、企業活動は「記録されること」が前提になっています。
記録されてはじめて評価され、改善され、再現される──それが現代のビジネスの常識です。

ところが、その中でたったひとつ、ずっと記録されないまま置き去りにされてきた領域があります。

それが、「パートナー(代理店)支援」です。

資料は送った。動画も共有した。でも、反応は分からない。

日々の業務の中で、パートナーに対して:

  • 製品資料や提案書を共有する
  • キャンペーン情報を展開する
  • トレーニング動画を案内する
  • 営業支援ツールのURLを送る

──こうした支援活動をしている企業は少なくありません。
しかし、多くの場合、その支援が:

  • 誰に届いたのか
  • 実際に見られたのか
  • 現場の営業に使われたのか
  • 成果にどう影響したのか

については、まったく記録されていません

「やっている」はずなのに、「何をしたのか」が残らない。
「支援している」はずなのに、「どれが効いたのか」が分からない。

──この状況は、なぜ長年見過ごされてきたのでしょうか?

見えないまま放置されてきた“3つの理由”

① 「支援」は“業務”として定義されていない

SFAには「商談」「フェーズ」「アクション」という明確な構造があります。
MA
には「開封率」「クリック率」「CV」という行動ログがあります。

一方、パートナー支援には何があるでしょうか?

  • 「資料を送ったか」
  • 「動画のURLを案内したか」
  • 「何となく説明したか」

多くの場合、支援という行為が曖昧なまま属人的に実施されてきました。
その結果、組織として評価も記録もされず、業務としてカウントされない領域になってしまったのです。

② 成果との“つながり”が見えづらい

パートナー支援の成果は、直接の数字として現れにくい構造があります。

  • 資料を見たからといって、すぐに商談が生まれるとは限らない
  • トレーニングを受けたからといって、すぐに売上に反映されるとは限らない

だからこそ、「成果に貢献したか」を説明しづらく、投資判断や改善対象から外れがちです。

しかしこれは、支援が意味を持たないのではなく、見えるように設計されていないだけなのです。

③ 担当が分散し、“誰の責任でもない業務”になっている

パートナー支援は、営業、マーケティング、カスタマーサクセス、トレーニング担当など、複数の部門が関与しています。

しかし、それぞれが「部分的」に関与しているだけで、全体像を持って支援を管理している責任者が不在なケースが多いのです。

  • マーケは資料を作るが、使われているかは分からない
  • 営業はトレーニングを案内するが、完了したかは分からない
  • CSは問い合わせ対応するが、根本的な支援設計はしていない

こうして、支援活動が誰のKPIにもならない業務として放置されていくのです。

※CS: Customer Success

そのままにしておいて、本当にいいのでしょうか?

パートナー支援は、これまで**「放置していても、なんとか回っていた」**のかもしれません。
トップ代理店が勝手に動いてくれたり、支援を受け取る側が自律的に補ってくれたりしていたからです。

しかし──

  • 代理店の質も数も多様化している
  • サポートがなければ動けないパートナーも増えている
  • 働き方が変わり、情報を待つ側の姿勢が強くなっている

いま、支援が「放置できない領域」へと変化しています。
にもかかわらず、何もログが残らない状態を続けていては、成果の差が広がる一方です。

これからの選択肢:「支援も、見えるようにする」

では、どうすればいいのでしょうか?

答えは、シンプルです。
営業やマーケティングと同じように、支援にもログを残すこと。

  • どの資料が読まれたか
  • 誰が動画を完了したか
  • FAQや支援ツールがどれだけ使われたか
  • 成果の出た代理店が、どんな支援を消化していたか

これらを「見える」ようにするだけで、支援は評価される業務に変わります。

支援ログがあるからこそ、
支援の改善もでき、
成功パターンの再現もできるようになる。

営業やMAがそうであったように、
パートナー支援も、構造的に強くできる領域なのです。

おわりに──“誰も見ていなかった”領域に、光を当てよう

パートナー支援が放置されてきたのは、意図的ではありません。
見えないから、考えられなかった。
責任が分散していたから、誰も動けなかった。
成果が追えなかったから、投資ができなかった。

でも、もうそのままにはできません。

見えるようにすること。
評価できるようにすること。
再現できるようにすること。

それが、「支援してるはずなのに成果が出ない」状態から抜け出す、唯一の道です。

の可視性」かもしれません。