
「SFAでいいんじゃないの?」と言われたときに読む話──“パートナー支援”が投資対象になりづらい理由と、その乗り越え方
「代理店支援って大事だと思うんです。でも、それってSFAの中でやればよくないですか?」
提案の場や稟議のレビューで、そんな言葉を投げかけられた経験はないでしょうか。
たしかに、営業支援といえばSFA(Sales Force Automation)。
マーケティング活動といえばMA(Marketing Automation)。
どちらも、“数字で説明できる”実績があり、投資判断者のKPIに直結しています。
一方で、「パートナー支援」は、どうでしょうか?
なんとなく重要そうだけど、
成果が見えづらい。
活動が属人的。
費用対効果を説明しにくい。
結果として、「SFAで十分では?」「そこに投資する必要はあるの?」といった反応に直面しがちです。
「パートナー支援」はなぜ投資対象になりにくいのか?
これは現場担当者の力量や資料の作り方の問題ではありません。
構造的に、「可視化されてこなかった領域」であることが原因です。
理由①:KPIが制度化されていない
SFAやMAも、成果に直結するわけではありません。
むしろ、中間指標(商談件数・開封率など)をKPIとして制度化することで、成果との相関を見える化してきたという歴史があります。
一方でパートナー支援は──
- 「支援しているつもり」でもログが残らず
- 「どの支援が有効だったのか」が分からず
- 「評価すべき行動」が定義されていないまま運用されている
そのため、KPIを基にした投資判断が非常に難しいのです。
理由②:“誰が何をしているか”が不明瞭
- 資料提供、教育、キャンペーン告知、問い合わせ対応…
- どれもが「なんとなく誰かがやっている」属人的な業務として扱われ
- 組織としての活動量や負荷が可視化されていない
結果として、支援業務が「なくても困らない」もののように見えてしまうのです。
理由③:支援の“成果”が再現されていない
たまたま成果を出した代理店の行動が、支援によるものかどうかが分からず、
再現可能な“支援モデル”として昇華されていない。
だから、「支援すると売れる」ことが証明できず、投資もされない──という悪循環に陥ります。
では、どうすれば“投資対象”と認識されるのか?
答えはシンプルです。
「支援」を“構造”として定義し、データとして観測可能にすること。
たとえば──
- 誰に、どんな資料が届いたか?
- 誰がトレーニングを完了しているか?
- どの代理店が、どの施策を消化しているか?
- 問い合わせは何件あり、どうナレッジ化されているか?
これらを可視化・記録・分析できるようにする。
そして、その仕組みを通じて代理店の行動変化を定量化し、成果との相関をつかむ。
これを実現するのが、PRM(Partner Relationship Management)です。
PRMで見るべき“支援KPI”の例
SFAが「商談数」、MAが「リード獲得率」を見るように、PRMでも次のようなKPIを持つことで、“支援の成果”を語れるようになります。
項目 | 意味 | 活用例 |
---|---|---|
資料閲覧率 | 支援コンテンツが届いているか | 未閲覧代理店への自動フォローアップ |
トレーニング完了率 | 教育支援の浸透度 | 未達者への学習促進施策 |
アクティブパートナー率 | ログイン・活動状況 | “死んだ代理店”の洗い出し |
問い合わせ傾向 | 支援不足の可視化 | FAQ・チャットボット最適化 |
支援消化率 × 成果相関 | “成果が出る行動パターン”の発見 | ベストプラクティスの展開 |
おわりに──“パートナー支援の見えなさ”を突破するには?
パートナー支援は、見えないから軽視されるのではなく、見えるようにしてこなかったから投資されてこなかったのです。
SFAやMAのように、
“数字で語れるインフラ”に昇格させることができれば、
「Nice to Have」ではなく「Must Have」の領域に変わっていきます。
その第一歩が、「支援を見える化する」ためのPRMなのです。
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