
TCO削減に失敗するSharePoint移行 ― オンプレ延命コスト vs PRMONEによる再構築コスト徹底比較 ―
序章:クラウド移行が「コスト削減」を保証しない理由
多くの企業が、SharePoint Serverの延命期限が近づくなかで、Microsoft 365(SharePoint Online)への移行を検討しています。
その際、ほぼすべての経営会議で出るキーワードが「TCO削減(Total Cost of Ownership)」です。
しかし実際には、クラウド移行が必ずしもコスト削減につながるわけではありません。
移行後に「思ったより高くついた」「業務が止まった」「Power Apps化の工数が膨らんだ」という声は少なくありません。
TCOとは単なる“ライセンス費用”ではなく、運用・教育・改修・連携といった“全体維持コスト”の総称です。
つまり、クラウドに移すことよりも、「どの構造で運用を続けるか」の方が長期的な影響を与えます。
本記事では、延命・Microsoft 365・PRMONE再構築の3つを比較しながら、TCOを最適化するための思考のフレームを整理します。
現状整理:SharePoint延命は「低コスト」ではなく「固定費化」
オンプレミス SharePointを延命する企業の多くは、「既にあるから安く済む」と考えます。
しかし、実際にはその維持に多層的なコストが発生します。
コスト要素 | 内容の例 | 特徴 |
|---|---|---|
サーバー維持費 | ハード更新、仮想環境運用、バックアップ | 定期的に発生するインフラコスト |
CALライセンス | ユーザー/外部接続ライセンス更新 | 利用拡大とともに増大 |
開発・保守 | .NETやDesigner資産の修正・障害対応 | 技術者確保が難化 |
セキュリティ対応 | パッチ、OSサポート延長対応 | 長期的には不安定化リスク |
短期的には投資を抑えられても、3〜5年スパンで見ると、
「毎年発生する維持コスト」+「技術老朽化対応費」で総コストが膨らむ構造になります。
延命とは、“コストを先送りして積み上げる”選択である。
Microsoft 365移行の落とし穴:「中間層アプリ」がTCOを押し上げる
クラウド移行を選んでも、すべての業務アプリがそのまま移せるわけではありません。
特に問題となるのが、InfoPathフォーム、SharePoint Designerワークフロー、.NETイベントコードなど、中間層アプリと呼ばれる領域です。
これらは人の判断・承認・外部連携を前提としており、Power AppsやPower Automateでは完全再現が難しい場合があります。
項目 | M365での課題 | 結果 |
|---|---|---|
InfoPathフォーム | ネスト構造・繰り返しテーブルが扱えない | 再設計が必要 |
Designer WF | 条件分岐・並列承認が複雑化 | フロー分割で保守負荷増 |
.NETイベントコード | Full Trust Codeが非対応 | Azure開発コストが発生 |
その結果、「Power Platform+個別カスタム」という形で再構築コストが膨らみ、
当初想定したTCO削減が実現しないケースが多発しています。
PRMONEによる再構築:コストを“削減”ではなく“再投資”に変える
一方で、PRMONE(intra-martベース)は、SharePointと同じ「業務アプリ+ワークフロー」を担える構造を持ちながら、既存の資産をローコードで再定義することが可能です。
■主な構成イメージ
レイヤー | 役割 | 概要 |
|---|---|---|
業務ロジック層 | ワークフロー、申請・承認、外部連携 | 条件分岐・並列承認もローコード設定で対応可能 |
データ層 | PostgreSQLベースの柔軟なスキーマ管理 | SharePointリストより拡張性が高い |
認証層 | Azure AD SSO対応 | Microsoft 365アカウントとの統合運用が可能 |
再構築といってもゼロから作り直すのではなく、
「既存の仕組みをローコード化・再利用する」という考え方が基本です。
結果として、
- 開発費よりも設計資産の再利用比率が高まる
- 維持費が運用費中心(変動コスト)へシフトする
- 新規アプリも同一プラットフォームで再構築できる
これらが長期的なTCO削減の源泉になります。
比較の考え方:延命・Microsoft 365・PRMONEのコスト構造
数値そのものではなく、費用の性質と伸び方を比較することが重要です。
観点 | オンプレミス延命 | Microsoft 365移行 | PRMONE再構築 |
|---|---|---|---|
コスト構造 | 維持費中心(固定費) | ライセンス+開発費 | 初期投資+運用費 |
保守性 | 高コスト化・属人化 | クラウド依存 | 内製・拡張が容易 |
柔軟性 | 低 | 中 | 高 |
外部連携 | 制限多 | 制限あり | 柔軟 |
ROI(3〜5年) | マイナス傾向 | 横ばい | プラス傾向 |
延命は「維持費」型、Microsoft 365は「利用料」型、PRMONEは「再利用投資」型。
この構造の違いが、3〜5年後のTCO逆転を生みます。
財務的視点:延命は“減価償却済み資産への追投資”
財務面で見ても、延命は資産を増やさずにコストだけを積み上げる行為です。
これに対し、PRMONEによる再構築は「業務プラットフォーム再設計」という形で、
新たな資産(再利用可能な共通基盤)として扱うことができます。
延命:減価償却済み資産への支出(費用化)
再構築:再利用可能資産への投資(資産化・ROI計算可能)
結果的に、財務上もIT戦略上も、再構築の方が「未来への投資」として正当化しやすくなります。
ケーススタディ:製造業A社の判断基準
A社はSharePoint Server 2013を延命していましたが、保守担当ベンダーの撤退によりリスクが顕在化しました。
移行コストを懸念していたものの、PRMONEをベースに再構築した結果:
- 保守費を3年で30%削減
- Power Automateとの連携で承認リードタイムが50%短縮
- 社外パートナーを含むB2Bワークフローを安全に統合
A社が語った印象的な一言があります。
「延命とは現状維持ではなく、将来の制約を買っていた。」
結論:TCOを下げるのは“安くする”ことではなく“再設計する”こと
TCO削減とは、単に費用を減らすことではなく、構造を持続可能に変えることです。
延命は「支出を先送りする選択」、再構築は「支出を投資に変える選択」。
PRMONEは、
- 既存のSharePoint資産を再利用しつつ、
- Microsoft 365と連携し、将来的な業務拡張にも対応できる構造を提供します。
TCOを“減らす”のではなく、“活かす”──
そのための再設計こそが、これからのIT投資判断の基準です。

