「初回導入までは代理店が頑張ってくれた」

「でも、その後の拡張提案は、まったく動きがない」

「アップセルの資料はあるけど、代理店には活用されていない」

──そんな状況に、心当たりはありませんか?

チャネル経由の販売が拡大する中で、“アップセル提案が代理店で完結しない”という課題は多くの現場で見られます。
本稿では、代理店がアップセル提案を自然に/継続的に行える状態を設計するための「提案UXの視点」を中心に、チャネル経由のLTV最大化戦略を再考します。

アップセルが代理店で止まる3つの“構造的な理由”

原因

構造的背景

① 初回導入で“任務完了”と思われがち

販売インセンティブや支援設計が初回中心

② アップセル提案の“タイミング”がわからない

利用状況や契約更新などの情報が見えない

③ 提案に使える素材や事例が“整っていない”

クロスセル/拡張提案のスクリプト・事例が分散している

→結果として、「売れる可能性があるのに、誰も動かない」状態に陥っている

なぜ、チャネルでのアップセルが重要なのか?

■LTVの拡大=提案“回数”の拡大

→ 初回だけではなく、継続的に提案する構造が重要

ベンダー本体でのフォローが追いつかない

→ 多くの代理店・ユーザーを抱える中、代理店の提案力を最大化することが唯一のレバレッジ

ロイヤルパートナー化の契機にもなる

→ アップセルの成功体験は「扱い続けたい」「共に動いている」という感覚を強める

アップセル提案を“自然に回す”ためのUX設計の5原則

【1】 「何を・いつ言えばいいか」が明確

  • 例:契約更新90日前に「拡張オプション提案トリガー通知」
  • 例:利用率◯%超えで「上位プラン移行スクリプト」が提示される

→ 代理店に“気づき”を与えるUXが必要

【2】資料・事例が“今の顧客”に合わせて提示される

  • 初回提案と同じ資料では刺さらない
  • 利用中の機能/未活用機能に合わせたピンポイントの事例集
  • 例:「この顧客が未導入なのはこの2機能」などの比較テンプレ

→ 拡張提案の“個別化テンプレート”がUXの鍵

【3】「誰でも言える」スクリプトがある

  • 担当営業が変わっても提案できるように
  • トーク例:「すでにご利用いただいているA機能ですが、B機能もセットで活用される企業が増えています」
  • 成果レポート付きの一言トリガーでも十分

→ “導入済み顧客向けのトーク設計”が不足しているケースが多い

【4】アップセル提案が“評価されている”実感がある

  • 商談登録時点でインセンティブを設定する/通知を返す
  • 「アップセル案件が商談全体の◯%を占める」などの共有も効果的
  • 本部からの“即時リアクション”が重要

→ 「動いても反応がない」状態を回避する仕組み

【5】ポータル導線に“アップセル体験”が埋め込まれている

  • 「導入済み顧客向け提案」ページを独立させる
  • 「提案履歴に応じたレコメンド」をMAや通知に連携
  • アップセル専用Q&Aや社内事例もまとめて配置

→ アップセルは“探しに行くもの”ではなく、“出会うもの”として設計する

ベンダー側でやるべき実装ステップ(例)

  1. 代理店別の導入製品/未導入機能リストの整理
  2. よくある“2回目の提案パターン”をテンプレ化
  3. 通知・リマインド導線のMA・ポータル連携
  4. スコアとインセンティブの再設計(初回偏重から脱却)
  5. 成果事例の“アップセル視点”での再編集

最後に:アップセルUXは、“支援の質”を継続的な成果に転換する導線である。

チャネルパートナーが提案しやすい状態とは、
“支援がある”状態ではなく、“支援が使いやすい”状態です。
アップセルは、チャネルにおけるエンゲージメントの成熟指標でもあり、
それが自然に回るようになると、

  • 売上は伸び、
  • パートナーの熱量は上がり、
  • 本部との関係も深化していきます。

代理店が提案を止めているのではなく、「提案できないUX」になっているだけかもしれない。

その視点から、アップセルを“仕組みとして整備”することが、次のチャネル成長への第一歩です。