
“離れない代理店”が体験していること──リテンションを高めるチャネルUXの共通点
「特に手厚い支援をしているわけではないのに、なぜか継続してくれている代理店がある」
「むしろ、支援の頻度は少ないのに、定期的に提案してくれている」
そんな“離れない代理店”の存在に、心当たりはありませんか?
この「継続してくれる理由」は、製品の優位性でも、支援の量でもなく、
「体験全体の質」──すなわちチャネルUXの設計にあります。
本稿では、代理店が“この製品を提案し続けよう”と決めるまでの体験の共通点をひも解きながら、
リテンションを高めるためのチャネルUXの構造的な作り方を整理します。
リテンションは“支援の量”ではなく“体験の質”で決まる
一般的な誤解 | 本質的な要因 |
---|---|
案件が出ているのは、製品が優れているから | ✕:「支援が使いやすい/意味があると感じた」体験が積み重なった結果 |
案件が出ているのは、製品が優れているから | ✕:「安心して扱える」「社内で使い方が共有されている」という設計によるもの |
表彰したから離脱しなかった | ✕:「見られている感」「貢献が評価されている感」が日常的に伝わっていた |
→ リテンションとは、「好かれること」ではなく「選ばれ続ける体験があること」。
“離れない代理店”に共通する5つのUX設計ポイント
【1】 すぐに使える
- 提案テンプレ/価格表/FAQが1クリックで手に入る
- UIだけでなく、「次にやること」が示されている
→迷わせないUXが、“初動のハードル”を下げる
【2】 学びが継続している
- 教育コンテンツが「受けやすく、溜まりにくい」
- 受講後に次のアクションが明示されている
- LMSが業務導線上にある(Slack連携など)
→“定期的に接点を持てる導線”が自然に組み込まれている
【3】 提案が評価されている
- 商談登録後に「本部からのリアクション」がある
- キャンペーン参加で成果通知が返ってくる
- 地域別・部門別での表彰やシェアがある
→「見られている」「活かされている」感覚が関与を維持する
【4】 “成果につながる”実感がある
- 提案が通りやすいトークスクリプトや事例
- 初回導入先がうまくいった際に、再提案がしやすい
- 「この製品なら安心」という営業組織内の空気が醸成されている
→UXの終点は“成功体験”であり、それを再現できるかどうか
【5】 やりとりが「軽い」
- チャット問い合わせができる
- 担当者を介さず、必要情報にすぐアクセスできる
- 再ログイン不要なURL配布など、余計なストレスがない
→リテンションは“気軽さ”のUXに支えられる
UX視点でリテンションを構造化する3ステップ
【ステップ1】 “継続代理店”の行動ログを棚卸す
- 継続提案している代理店の教育受講/資料DL/商談登録の動き
- それが「どんな導線で」「どんなタイミングで」起きていたかを可視化
【ステップ2】 “中断した代理店”との体験差を抽出する
- 提案や教育が“どこで止まったか”
- その時に「何が届いていたか」「届いていなかったか」
【ステップ3】UXで“続く仕組み”を再設計する
- 「資料探し」ではなく「提案ナビ」へ
- 「完了通知」ではなく「成果を知らせる通知」へ
- 「定例会のお願い」ではなく「いつでも入れる関与ポイント」へ
最後に:代理店は“居心地のいい支援体験”を選んでいる
リテンションの本質は、
代理店が「選び続けたいと思える体験」を積み重ねられているかどうか。
それは…
- 迷わない導線
- 評価されている実感
- 気軽な相談
- 成果の再現性
こうしたUXが揃っているとき、代理店は他の選択肢があっても、あなたを選び続けるのです。
“離れない代理店”は偶然ではありません。
それは、UXによって育まれた関係の必然です。