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見えない・伝わらない・動かない── パートナー営業におけるクオリフィケーションの“構造的な難しさ”とは?


目次[非表示]

  1. 1.はじめに
  2. 2.クオリフィケーションとは?──案件を「見極める」ための視点
  3. 3.パートナー営業では「確認そのものが困難」という構造がある
  4. 4.「直販の前提」で支援してしまうギャップ
  5. 5.必要な視点とパートナー営業の課題
  6. 6.空回りしてしまう施策の背景にある“誤解”
  7. 7.「支援の型」を再設計する──見えない中でも判断できる仕組みへ
  8. 8.おわりに
  9. 9.PRMONEとは?


はじめに

支援はしている、でも成果が出ない──なぜか?
SFAで案件を管理し、MAで定期的に資料を配信する。商談件数も一定数ある。
──にもかかわらず、思うような成果につながらない。
このような状況において、多くの企業は「支援のやり方」そのものを見直そうとします。
しかし、実は「支援の前提」が現場の構造とずれている可能性があります。
本記事では、営業活動の根幹にある「クオリフィケーション(案件見極め)」に焦点を当て、
なぜパートナー営業において施策が空転しやすいのか、その構造的な背景を整理し、
再現性ある支援設計を実現するための視点を提案します。



クオリフィケーションとは?──案件を「見極める」ための視点

営業活動では、案件が進んでいるように見えても、
「最後の稟議で止まった」「実は緊急性がなかった」といった理由で失注するケースが少なくありません。
こうしたリスクを減らすために用いられるのが、MEDDIC(メディック)というフレームワークです。
以下のような6つの観点に基づき、案件の質や進行可能性を見極めます。


観点                        
意味と判断に必要な情報 
よくある落とし穴
Metrics(評価指標)
ROIやKPIなど、成果を評価する基準
成果定義が曖昧なままPoCが始まり、評価されず終了した
Economic Buyer(経済的決裁者)
予算を握る意思決定者への接点
接点が最後まで持てず、予算化されなかった
Decision Criteria(判断基準)
比較軸や評価観点 
自社優位性が訴求できず、他社に流れた
Decision Process(決裁プロセス)
稟議・承認のフロー
タイミングを誤って提案が間に合わなかった
Identify Pain(課題の明確化)
顧客の困りごとの緊急度・深刻度
課題はあったが、後回しにされた
Champion(推進者)
社内で提案を推進してくれる人物の有無
共感は得たが、社内調整を動かせなかった

直販営業では、こうした情報を自社で直接確認できるため、案件の見極め精度を高める手法として広く活用されています。



パートナー営業では「確認そのものが困難」という構造がある

ところが、パートナー営業では事情が大きく異なります。
結論から言えば、クオリフィケーションの実施そのものが難しい構造にあるのです。
背景には次のような実態があります。

  • 顧客接点を持つのはパートナーであり、ベンダーは同行できない
  • 組織内の稟議プロセスや意思決定構造が不透明
  • 商談の進度や提案内容も、報告ベースでしか把握できない

結果として、MEDDICの各項目はブラックボックス化し、次のようなズレが生まれます。


観点              
パートナー営業での現実                                  
Metrics          
成果基準が曖昧なまま提案が進む                          
Economic Buyer    
誰が決裁者か不明で、接点も持てない                      
Decision Criteria
比較軸が不明確なまま提案がなされる                      
Decision Process  
稟議フローが見えず、タイミングを誤る                    
Identify Pain    
課題が共有されず、伝達の過程で歪む                      
Champion          
推進者が見えず、支援の手応えがつかめない                




「直販の前提」で支援してしまうギャップ

多くの企業は、こうした構造の違いに気づかないまま、
直販営業と同じ感覚で施策を展開し、支援が空転してしまいます。



必要な視点とパートナー営業の課題

本来必要な視点          
パートナー営業の制約                    
よくある誤った施策                          
顧客の課題を確認する  
顧客の声が届かない 
提案件数だけをKPIに設定
成果指標を定義する
成果基準が不明                        
PoCの成功基準が曖昧  
意思決定構造を把握する  
情報が断片的 
比較表だけで優位性を訴求
推進者を特定する        
推進者が見えない                      
定例会の出席だけで判断
稟議プロセスを把握する  
フローが読めない                      
提案のタイミングを誤る
決裁者との接点を持つ
接点がない                            
予算化されずに終わる

このように、「確認できること」が前提の施策は、実態と噛み合わないのです。



空回りしてしまう施策の背景にある“誤解”

こうしたズレは、支援者側の「暗黙の前提」から生まれます。たとえば──

  • 資料を送れば、動いてくれるはず
    → 情報を届けることと、行動を促すことは別問題です
  • 商談数で効果を測ればよい
    → 商談の“中身”や“進度”を見なければ、本当の成果は見えません
  • 情報は渡した。あとは読んでもらうだけ
    → 届いたか、読まれたか、理解されたか、は別の問題です
  • 直販と同じツールで十分対応できる
    → SFAやMAは「自社が接点を持っている」構造だから機能するものです




「支援の型」を再設計する──見えない中でも判断できる仕組みへ

パートナー営業においては、「見えない」「直接確認できない」ことを前提に、
それでも判断・支援を可能にする構造的な型が必要です。
たとえば、次のような設計が考えられます。

  • 情報取得のテンプレート化
    • 提案理由を3行以内で記述
    • 検討フェーズを選択肢で明示
    • 推進者の行動履歴を定型フォーマットで記録
  • KPIの多次元設計
    • 提案件数 × 成約率 × 単価
    • 商談ステータスごとの分布
  • ナレッジの蓄積と活用
    • Champion・Buyerの有無で失注傾向を分析
    • 稟議構造のパターン分類
    • ハイパフォーマーパートナーの支援履歴を標準化



おわりに

確認できないからこそ、構造で支援する
パートナー営業では、「見えない」「聞けない」「届かない」ことが前提です。
だからこそ、個人の頑張りや偶然に頼るのではなく、支援の構造化が求められます。



PRMONEとは?

PRMONEは、こうした構造的な支援設計を実現するために設計された、
パートナー向けエンゲージメント実行基盤です。
CRMやSFA、MAといった「自社接点前提」のツールとは異なり、
パートナーが顧客接点を持つ構造を前提に、情報の可視化・行動促進・結果の定着までを一貫して支援します。

ご一緒に、支援の型を再設計しませんか?

RMONEでは、MEDDICの考え方をパートナー営業向けに再構成した「Partner MEDDIC」をベースに、実態に即した支援設計と実行を可能にする枠組みづくりに取り組んでいます。
再現性のある支援の仕組みを整え、成果につながるパートナー連携を一緒に作っていきましょ ​​​​​​​





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